「納豆」消費1位は水戸じゃなく盛岡! 福島が3位、なぜ東北で食べられる?
日本で「納豆」が最も食べられている地域は、水戸市ではなく盛岡市だそうです。東北で納豆がよく食べられる理由とは――。
「納豆」がよく食べられている地域といえば、水戸納豆で有名な水戸市を思い浮かべる人が多いと思います。しかし、総務省の家計調査(2018年)によると、都道府県庁所在地と政令市の中で、納豆の1世帯(2人以上)当たりの年間購入金額が最も多い都市は盛岡市で、次いで水戸市、福島市の順でした。
東北で納豆がよく食べられるのは、なぜなのでしょうか。また、水戸市はなぜ“苦戦”しているのでしょうか。関係者に聞きました。
越冬する上で貴重なタンパク源
全国納豆協同組合連合会(東京都荒川区)の広報担当者に聞きました。
Q.納豆の年間購入金額は水戸市のほか、盛岡市、福島市が毎年トップ3を独占している状態です。なぜ、3市で納豆が多く食べられているのでしょうか。
担当者「納豆は越冬時の貴重なタンパク源として重宝したため、東北で昔からよく食べられていました。雪深い地域では食料の買い出しが難しい時季もあり、あらかじめ1週間分の納豆を造ることもありました。また、沿岸部では海が荒れて漁に出られないとき、納豆でしのぐことも珍しくありませんでした。
水戸市では、市内などを流れる那珂(なか)川が昔から台風などでしばしば氾濫し、田畑に被害を及ぼしていました。そこで、わせ品種の大豆を田んぼのあぜに植え、台風が上陸する9月までに収穫し、災害に備えていました。ただ、早めに収穫する分、豆は小粒でした。水戸の納豆が基本的に小粒なのもそのためです。
その後、明治時代に鉄道が敷かれ、東京から偕楽園(かいらくえん)へ観光に来る人が増加すると、水戸で納豆を食べた観光客の間で『おいしい』と評判になり、全国区の商品に成長しました」
Q.水戸市は2016年にトップだった後、2年連続2位以下です。なぜでしょうか。
担当者「福島、盛岡に比べ、核家族化が進んでいるためだと思われます。総務省の家計調査は世帯の購入金額で計算しているため、世帯人数が多いほど金額が高くなる傾向にあります」
Q.それぞれの地域で、納豆はどのように食べられているのでしょうか。
担当者「納豆は安価なものが多いため、世帯人数が多い家庭ほど多く食べられる傾向にあります。そのため、1日2回食べる家庭も珍しくなく、夜に食べる際は調理を工夫し、さまざまな方法で食べられます。例えば、福島ではカレーに入れたり、みそ汁に入れたりして食べていますし、ひき肉とともに炒めて食べることもあります。
水戸では『納豆はご飯にかけて食べるもの』という印象が強いです。市内に納豆専門店もあり、納豆に敬意を払っている印象を受けます。そのため、食べ方も保守的なのではないでしょうか」
Q.2月に2019年の納豆の購入金額が公表されると思いますが、予想は。
担当者「予想するのは難しいですが、水戸、盛岡、福島のいずれかがトップになるのではないでしょうか」
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