訪日外国人4000万人へ いま日本の飲食業界に求められていること
訪日外国人観光客が右肩上がりに増えるなか、政府目標である年間4000万人達成に向けて、各業界の民間企業も新たな対応を強いられています。今回は観光と関係性の深い飲食業に焦点を当てます。

日本を訪れる外国人観光客が増加しています。2016年は対前年比22%増の2403万9000人で5年連続の伸びとなりました。2020年東京五輪・パラリンピックに向けて年間4000万人を目標に掲げる政府と足並みをそろえるように、さまざまな民間企業が新たなサービスを展開しています。今回はその一つ、飲食業界に焦点を当てます。
「広島風」じゃ、まったく伝わらない
飲食店に向けた英会話研修事業を手がける「華ひらく」代表の内木美樹さんによると、日本を訪れた外国人500人にインタビューをしたところ、彼らが日本の飲食店に対して、以下の3点を満たすメニュー作りを望んでいることがわかりました。
1.料理の写真が載っている
2.使用する食材や調味料が細かく載っている
3.日本人だけに通じる言葉を使っていない
このうち、内木さんが最も重要だと指摘するのは「1」です。「全てのメニューが英語で書かれていることに越したことはありませんが、中小の店舗にとっては実施しにくいのが現状です。急場しのぎで、ネット上の翻訳サイトを使っている店舗もありますが、『きつねうどん』が『FOX(きつね)UDON』と訳されていたりします(笑)。その点、写真であれば、メニューのおおよそのイメージを伝えることができます」。
「2」の主な対象は、食物アレルギーを持つ人やベジタリアン、イスラム教徒です。「特に食物アレルギーは、命にかかわることなので細心の注意を払うべきです。ベジタリアンやイスラム教徒の思想信条にも敏感になりましょう。メニューへの十分な説明がなかったために、ベジタリアンの観光客と裁判沙汰になった店舗もあります」。裏返せば、敏感になれば他店との差別化にもつながるようです。
「3」について、内木さんは具体例を挙げて説明します。「小鉢」「和えもの」「広島風お好み焼き」です。「日本人であれば小鉢や和えものと言われたら、中身を想像することができます。しかし、外国人は小鉢(Small bowl)、和えもの(Mixed、dressed or seasoned)と言われても、具体的に何が入っているのか分かりません。広島風お好み焼きも同じ。『広島って何? 場所の名前じゃないの?』となります。この場合も広島風の特徴である『麺が入っていること』を明記しなければなりません」。
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