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被爆地で原爆死没者名簿の「風通し」、家にある本も風通しした方がよい?

毎年、広島と長崎の原爆死没者名簿の「風通し」がニュースになります。私たちの家にある本も、風通しをした方がよいのでしょうか。

広島市で行われた原爆死没者名簿の「風通し」(2019年5月、時事)
広島市で行われた原爆死没者名簿の「風通し」(2019年5月、時事)

 毎年5月中旬から下旬にかけて、広島と長崎の原爆死没者名簿の「風通し」がニュースになります。長年、保管している名簿を一枚一枚めくっていく恒例行事ですが、乾燥させるのは大切かなと思う半面、太陽光に当たるとよくないのでは、とも思ってしまいます。名簿や本の風通しと保存の関係について、整理収納コンサルタントの岩佐弥生さんに聞きました。

虫の発生や変色、異臭を防ぐ効果

Q.名簿や本の風通しには、どのような効果があるのでしょうか。太陽光に当てることで劣化しませんか。

岩佐さん「ずっと開いていなかった本を久しぶりに開いた時、虫が湧いていたり、変色していたり、変な臭いがしたりすることがあります。また、湿気によって本の中身(紙)が変形してしまっていることもありますが、風通しによりこれらを防ぐことができます。特に大事な名簿や資料などは重要な情報になりますので、風通しをして状態を維持しているのです。一方で、直射日光に当て過ぎると本を傷める原因になりますので、風通しをする場所や時間に注意が必要です」

Q.私たちが持っている一般の本も、風通しをした方がよいのでしょうか。

岩佐さん「一般の本も年1回は風通しをするとよいでしょう。時期は、梅雨がしっかりと明けた晴れた日や、秋のからっとした天気の日がお勧めです。時間は、夕方以降は湿度も高くなってきますので、朝10時ごろから日が傾き始める時間までがベストです。布団を干すのに適している天気・時間と思えば分かりやすいですね。風通しの際は、ベランダなど屋根があるような、直射日光が当たらない場所でページをぱらぱらとめくり、自然の風を通してあげるとよいでしょう」

Q.本はどのように保管するのがよいのでしょうか。よく読む本と読まない本で違いはありますか。

岩佐さん「日光の紫外線が本の劣化の原因になりますので、日の当たる場所に本や本棚を置いておくのはお勧めできません。また、結露の多い場所や湿気の多い場所はカビにもつながります。よく読む本もあまり読まない本も、日光が当たらない場所がお勧めです。遮光カーテンを活用したり、日光が当たらない向きに本棚を置くなどの工夫をするとよいでしょう。また、普段読まずとも保管しておきたい本は、収納ケースなどに防虫剤や乾燥剤を入れ、光の当たらない場所に保管し、年1回は風通しをしてあげるとよいでしょう」

Q.本に「紙魚(しみ)」と呼ばれる虫など、虫がつくことがあります。紙魚はどういう虫で、出てきたらどうすればよいのでしょうか。

岩佐さん「紙魚は夜行性で体長10ミリ前後、英語では『silverfish(シルバーフィッシュ)』と呼ばれます。湿度の高い場所や暗くてホコリがたまりやすい場所を好み、主に紙を食べる害虫ですが、衣類の繊維や穀物も食べるといわれています。発見したら、新聞紙やティッシュペーパーを使って、逃げ出さないようにしっかりと駆除します。駆除した後は、見つけた場所に念のためスプレータイプの殺虫剤をかけておいてもよいでしょう。

一番手っ取り早い予防策は『防虫剤』です。ハーブの匂いが嫌いなので、ハーブの置き型タイプの殺虫剤を本棚などに置くとよいでしょう。先述の通り、穀物も食べますので、食品の保管は密封性の高い状態で保管することをお勧めします。ペットを飼っている家庭は、ペットにも安心な防虫剤の使用が安心です。

また、部屋の隙間は暗いため、紙魚が好む場所の一つです。隙間に段ボールや紙袋などを挟んでおかないのも予防のポイントです。湿気を避けることも大事なので、風通しはまさに『紙魚』防止にもつながります。そして、一度発見したらホコリがたまりやすい場所を念入りに掃除しましょう」

Q.衣替えの季節ですが、衣類もしまう前に風通しをした方がよいのでしょうか。本や衣類のほかに、風通しをして保管した方がよいものは。

岩佐さん「先述の通り、紙魚は衣類を食べることもあるので、衣類も風通しをするとよいでしょう。また、湿気は重いため、衣替えで衣類ケースに収納する際に、除湿剤は底に入れ、衣類は重ねず立てて収納することをお勧めします。このとき、ギュウギュウに詰め込みすぎないのもポイントです。また、着物や下駄箱の靴、バッグも日陰で風通しすることで長持ちにつながります」

(オトナンサー編集部)

岩佐弥生(いわさ・やよい)

整理収納コンサルタント

キッチンショールームでの収納コーディネート、企業の収納コンサルタントなど、幅広く活動中。また、喋(しゃべ)り手ならではの聞きやすく分かりやすい収納セミナーが好評。オリジナル収納ラベルのショップもプロデュースしている。保有資格は、整理収納アドバイザー2級認定講師、整理収納アドバイザー1級、企業内整理収納マネージャー認定講師。iGuild(アイギルド)(https://www.iwasayayoi.com/)。

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