硬いエサのせい? パンダが定期的に「腹痛」に悩んでいるって本当?
パンダは、定期的に腹痛で苦しむそうです。硬いササや竹を食べるので、消化不良を起こすからでしょうか。

ササを食べたり、木に登ったりと、いつも愛くるしい姿を見せてくれるパンダですが、実は、定期的に腹痛になり苦しむそうです。「あのかわいらしい顔が苦痛にゆがむなんて…」と思うと、いてもたってもいられなくなり、パンダを6頭飼育している「アドベンチャーワールド」(和歌山県白浜町)の飼育担当者に聞きました。
おなかを抱え、丸まって動かない
Q.パンダが定期的に腹痛になるのは本当ですか。
担当者「はい。パンダは、繊維質が多くて硬い竹やササを主食とするため、自らの腸を保護する腸粘膜が傷ついて定期的に排せつされ、また、新しい粘膜が作られるのです。傷ついた古い粘膜は通常、便と一緒に排せつされますが、竹やササの採食量が少なくなった場合、便の量も減り、粘膜がうまく排せつされないことがあります。そうしたときに、腹痛のような症状が現れます」
Q.腹痛のとき、パンダも人間と同じようにおなかを抱えて痛がるのですか。
担当者「おなかを抱えて丸まって動かなくなります。しばらくすると、腸粘膜を排せつし、何もなかったかのように普通の動きに戻ります。腸粘膜のみの便を『粘液便』といいます。2~3日で回復することもありますが、食べる竹やササの質が悪いと、同じ症状を繰り返す場合があります。痛みは経験したことがないので、程度は分かりません」
Q.全てのパンダが腹痛を訴えるのでしょうか。竹やササを食べ始める頃から腹痛は起こるのですか。
担当者「竹やササを十分食べていれば、腸粘膜がしっかりと排せつされるため、症状は現れないと思います。アドベンチャーワールドでは、子どものパンダが竹を食べ始めてしばらくたった2歳前後で、初めて腹痛の症状が見られています」
Q.パンダが腹痛を訴えているとき、飼育員は特に何もしないのでしょうか。
担当者「いつも以上に良質な竹やササを選んで食べさせ、排せつされやすくなるようにします。程度にもよりますが、(排せつを促す)薬を投与することもあります」
Q.そもそも、なぜパンダはササや竹を食べるのですか。ほかのものを食べることはないのでしょうか。
担当者「パンダがササや竹を主に食べるようになったのには、理由があるそうです。最初は肉食だったようですが、獣の数が減った氷河期に生き延びるため、肉食からササや竹を食べるように変わったらしいのです。詳しくは分かりませんが、腹痛になるのも、ササや竹を問題なく食べられる体に進化している過程だと思っています。そのため、野生のパンダは動物の死骸を見つけたとき、それを食べることもあるそうです。アドベンチャーワールドでは、ニンジンやリンゴ、動物用のビスケットも与えています」
Q.動物園などで、パンダが腹痛のそぶりをしているのを見たら、病気ではなく自然の摂理として見守ればよいのですか。
担当者「その通りです。この腹痛はどのパンダでもあり得ることですので、どうか温かく見守ってください」
(オトナンサー編集部)
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