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若い世代で急増中…“20代”が気を付けるべき「潰瘍性大腸炎」とは? 発症の原因を専門医に聞く

20代が気を付けるべき「潰瘍性大腸炎」について、消化器病専門医、総合内科専門医の柏木宏幸さんに聞きました。

「潰瘍性大腸炎」はどんな病気?
「潰瘍性大腸炎」はどんな病気?

「潰瘍性大腸炎(UC)」は、日本国内の患者数が年々増加している病気で、厚生労働省により指定難病に認定されています。池袋ふくろう消化器内科・内視鏡クリニック東京豊島院(東京都豊島区)院長で、消化器病専門医、総合内科専門医の柏木宏幸さんによると、男性では20〜24歳、女性では25〜29歳で最も発症しやすく、若い世代に多い病気のため、特に20代は気を付けた方がよいとのこと。そこで、柏木さんに潰瘍性大腸炎の主な症状や原因などについて聞きました。

長期的な治療が必要となる

Q.潰瘍性大腸炎とは、どのような病気なのでしょうか。

柏木さん「潰瘍性大腸炎は、自分の腸に対して過剰な免疫反応が起こることで、大腸の粘膜に慢性的な炎症が生じる病気です。その結果、粘膜のただれや潰瘍ができてしまいます。腸に過剰な炎症が起こる『炎症性腸疾患(IBD)』を代表する疾患の一つで、男性では20〜24歳、女性では25〜29歳で最も発症しやすく、若い世代に多い病気です。そのため、若い世代の方々に特に知っていただきたい病気です。性別による差はありませんが、子どもや高齢者でも発症することもあります。

大きな特徴としては、症状が良くなる『寛解期』と悪化する『活動期』を繰り返すことです。寛解期であっても、適切な治療を継続しないと症状が悪化したり、長期経過により大腸がんを合併するリスクが高まったりすることが知られています。そのため、症状が落ち着いている時期も治療や検査を続けることが非常に重要であり、長期的な治療が必要となります。

日本国内の潰瘍性大腸炎の患者数は年々増加しており、現在は30万人を超えると推定されており、決して珍しい病気ではありません」

Q.潰瘍性大腸炎を発症すると、主にどのような症状が出るのでしょうか。

柏木さん「主な症状は、血便や下痢、腹痛です。血便は、粘液(白っぽい液体)が混じった『粘血便』が特徴的です。また、最近注目されているのが『便意切迫感』です。これは『突然かつ緊急に感じる便意』で、『今すぐトイレに駆け込まないと間に合わない』ほどの激しい便意を指します。この症状により、外出や仕事、学校生活に支障を来すことが多く、多くの患者が悩まされています。このような症状がある場合は、きちんと検査や治療を受けることが大切です。

また、消化器症状以外にも、発熱や体重減少、貧血、全身倦怠(けんたい)感といった全身症状があります。また、潰瘍性大腸炎の合併症として、皮膚症状や関節の痛み、目の病気などが生じることもあります」

Q.潰瘍性大腸炎を発症してしまう主な原因について、教えてください。

柏木さん「明確な原因は、現時点では完全には解明されていません。しかし、さまざまな研究により、複数の要因が複雑に絡み合って発症することが分かってきています。具体的には、次の要因が関与していると考えられています」

(1)遺伝的要因
潰瘍性大腸炎は家族内での発症が多いことから、遺伝的素因が関与していることが分かっています。欧米では、患者の約20%に炎症性腸疾患の家族歴があると報告されています。日本では欧米に比べて家族歴を持つ人の割合は低い傾向にありますが、それでも潰瘍性大腸炎の患者の約10〜15%が家族内に同じ病気を発症している人がいるといわれています。ただし、特定の遺伝子を持っているからといって必ず発症するわけではありません。発症しやすい遺伝子型があることは確認されていますが、その型を持っていても発症しない人も多くいます。

(2)環境要因
食生活の欧米化や衛生環境の変化が発症に影響していると考えられています。食生活の欧米化に伴い、動物性たんぱく質や高脂肪食の摂取量が増加しました。これらは潰瘍性大腸炎や大腸がんの増加と相関していることが分かっています。一方で、和食中心の食事や食物繊維の摂取は、大腸がん発症のリスクを低下させることが明らかになっており、腸内環境にも良いとされています。

つまり、遺伝的要因と環境要因が合わさることで、腸の粘膜で免疫の過剰反応が起こり、炎症が生じると理解されています。

Q.潰瘍性大腸炎が疑われる場合、どのような症状があったら受診した方がよいでしょうか。

柏木さん「血便、下痢、腹痛のいずれかが続く場合は、消化器内科の受診を検討してください。

(1)血便
・血便が繰り返し起こる、または数日以上続いている
・特に粘液(白っぽい液体や付着物)を伴う粘血便がある場合

(2)下痢
・1週間以上、下痢が続いている
・もともと下痢しやすい体質の人でも、最近になって症状が悪化している

(3)腹痛
・血便または下痢を伴う腹痛がある
・下腹部痛が繰り返し起こる

若い人の血便では、切れ痔との見分けが難しいことがあります。判断に迷ったら、消化器内科に相談すると良いでしょう。血便を起こす病気は複数ありますが、出血すること自体が異常ですので、診察を受けることで適切な対応ができます。

また、下痢や腹痛に関しては、感染性腸炎(細菌性、ウイルス性)、ストレスや食生活により慢性的な腹痛や便通異常(下痢、便秘)が起こる「過敏性腸症候群」との見極めが難しいです。次のようなことがあれば感染性腸炎の可能性があります。

・発症してまだ短い
・同時期に発熱や吐き気などの症状がある
・未加熱の肉や魚介など、原因となる食事がある
・周囲に同じ症状の人がいる

潰瘍性大腸炎の場合には、「繰り返す」「続く」ことがポイントです。症状が一時的に治まることがあっても、「いつもの症状」と自己判断せず、医師の診察を受けることが重要です。また、粘液便や血便は通常では起こらない症状のため、受診のきっかけとなります。

【画像】「えっ……!」 これが、受診すべき潰瘍性大腸炎の“症状”です!

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柏木宏幸(かしわぎ・ひろゆき)

総合内科専門医、消化器病専門医、池袋ふくろう消化器内科・内視鏡クリニック東京豊島院 院長

埼玉医科大学医学部卒業後、沖縄県で初期臨床研修を修了。東京女子医科大学消化器病センター内科へ入局し、内科・消化器内科・内視鏡診療および治療に従事。炎症性腸疾患グループに所属し、臨床および教育活動の両面で活躍。後に同センターにて助教を務める。

その後、複数の民間病院にて臨床経験を積み、2023年4月に「池袋ふくろう消化器内科・内視鏡クリニック東京豊島院」(東京都豊島区)を開院。胃がん・大腸がんの早期発見啓発と内視鏡検査の普及を目的とした診療体制を構築。開院から1年2ヵ月で月間内視鏡件数600件を超え、池袋周辺の企業勤務者および地域住民の健康診断、生活習慣病治療(高血圧・糖尿病・脂質異常症・高尿酸血症)や一般内科診療にも力を入れている。

アクセスの良い立地を生かし、首都圏のみならず全国各地、さらには海外からも受診者が来院。現在は外来診療に加え、YouTubeチャンネルを通じて医療知識の普及や内視鏡検査の重要性について積極的に情報発信を行っている。

池袋ふくろう消化器内科・内視鏡クリニック東京豊島院(https://www.ikebukuro-cl.com)。公式YouTubeチャンネル(https://www.youtube.com/@HKa-wb4jw)。

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