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実は多い…「鶏皮」を食べずに捨てている人たち SNS「カロリー高そうだし」←実際どうなの?

スーパーで売られている鶏肉についていることの多い「鶏皮」。あなたは普段、調理して食べますか? それとも捨てますか? 実際は捨てている人も多いようですが、管理栄養士の見解は……?

「鶏皮」実は“捨てている”人も多い!?
「鶏皮」実は“捨てている”人も多い!?

「鶏皮」といえば焼き鳥店の定番メニューの一つですが、スーパーで買う鶏肉にもついていることが多く、自宅で調理する人もいると思います。このとき、あなたは「鶏皮」部分も調理に使って食べていますか? それとも、食べずに捨てていますか?

 SNSなどをのぞいてみると、「鶏皮大好き」「焼いても煮てもうまい」「むしろ鶏皮だけ食べたいくらいです」「捨てるなんてもったいない」といった声が聞かれますが、一方で「カロリー高そうだし、いつも食べません」「鶏皮は食べたくないから捨ててる」「ブニブニした食感が無理…」という人も一定数いるようです。

 実は捨てている人も多いことがうかがえる「鶏皮」ですが、「実際は栄養が豊富なのでは……?」という疑問も湧きます。「鶏皮」はどうするのがよいのか、管理栄養士の岸百合恵さんに栄養素も含めて教えていただきました。

体にとって大切な栄養素も含まれる部位

 まず、「鶏皮」の基本的な栄養素についてご紹介します。

 鶏皮1枚(約40グラム)は199キロカロリーで、タンパク質3.8グラム、脂質19.4グラムが含まれます。身の部分と比較しても、ほぼ同じ種類の栄養素が含まれますが、身の部分よりも皮の部分に多く含まれるのはカロリーと脂質です。鶏もも肉100グラム当たりの「皮あり」と「皮なし」では84キロカロリーの差があり、皮を取り除くことで大幅にカロリーをカットできます。

 このように高カロリーな鶏皮ですが、身の部分よりは少ないものの、体にとって大切な栄養素も含みます。特筆すべき栄養素は、血液凝固に関わる「ビタミンK」、目や皮膚、粘膜の健康を保つ「ビタミンA」、そして3大栄養素(炭水化物、脂質、タンパク質)の代謝に関与し、エネルギー産生を助ける「ナイアシン」です。

 また、人体への有効性について十分に証明されているとはいえませんが、「コラーゲン」は皮膚や関節の健康を保つ可能性が期待されています。鶏皮はコラーゲンを多く含むので、コラーゲンを摂取したい人にとってはうれしい食材といえるでしょう。

 そんな鶏皮ですが、実際には「食べる」人と「食べない(捨てる)」人に分かれているようです。これに関しては、その人次第でよいと思います。

 鶏皮の特徴でもある脂質量が気になる人、減量やダイエットをしている人なら、食べない方がぐんとカロリーカットできるのは事実だからです。一方で、鶏本来のうまみを楽しみたい人や、鶏皮に含まれるビタミンなどの栄養素を摂取したい人、食材そのものを残したくない人もいるでしょう。人によって好みや事情は異なりますから、どちらの食べ方にも制限はありません。

 ただ、「鶏皮は太る」「体に悪い」と決めつけてしまうのは、あまりいいとは言えません。太る原因は鶏皮のみでなく、全体の食事バランスや生活習慣の問題です。鶏皮を食べるメリットもデメリットも知り、「太る」「体に悪い」食べ方をしないことが大切ですね。

 最後に、鶏皮をおいしく食べるための調理法をご紹介します。

 鶏皮を多めのお湯で15分程度ゆでて油抜きをしたり、フライパンでパリパリになるまで焼いたりすると、うまみや栄養素はさほど変わらずにカロリーがカットでき、鶏の臭みも取ることができます。また鶏皮は、平らに伸ばしてラップで包めば、冷凍保存することも可能なので、調理の幅も広がるでしょう。

 鶏の脂質はうまみが多く、満足感やおなかを満たすことにもつながります。ぜひ上手に活用してみてください。

(オトナンサー編集部)

岸百合恵(きし・ゆりえ)

プロボクサー、管理栄養士、日本糖尿病療養指導士

病院食の管理・調理業務や企業での特定保健指導を経て、生活習慣病診療を専門とするクリニックにおいて5年間、栄養指導を実施。アスリートとしても夢を追い掛け、2017年に日本ボクシングコミッション(JBC)のプロテストに挑戦し、一発合格。「闘う管理栄養士」として、チャンピオンを目指して日々トレーニングに励みながら、ボディーメークや健康管理の指導を行う。現在は、スポーツ・睡眠歯科分野の診療を行う歯科医院で、アスリートへの食事指導や、一般患者へのダイエット、フレイル・サルコペニア予防の指導を行う他、内科クリニックで生活習慣病患者に対する食事指導を行っている。

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