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「脂肪肝=酒飲みの病気」は誤り “飲酒以外の原因”で発症するケース急増 放置するリスクとは 専門医解説

脂肪肝を改善するには?

Q.脂肪肝を改善するにはどうしたらよいのでしょうか。具体的な対処法について教えてください。

安江さん「脂肪肝の改善において最も基本となるのは生活習慣の見直しです。特に体重の5~10%を減らすことが、脂肪肝の改善に有効であることが医学的に示されています。急激なダイエットではなく、無理のない範囲で継続できる取り組みが重要です。

まず、食事の内容を見直すことが第一歩です。糖質や脂質、とくにフルクトース(果糖)や飽和脂肪酸の摂取量を控えましょう。その上で、大豆製品や魚などのような、低脂肪で高タンパクの食べ物、食物繊維を多く含む野菜やキノコ類を摂取し、バランスのよい食事を心掛けてください。加えて、甘い飲料やスナック菓子など、過剰なカロリー摂取の原因となる食品を控えるのが望ましいです。

次に、定期的な運動の習慣も大切です。ウオーキングやジョギング、水泳などの有酸素運動を週に2時間半程度行うことが推奨されており、筋トレを組み合わせることでより効果的に脂肪を減らすことができます。

飲酒習慣の見直しも重要です。アルコール性脂肪肝の場合は、完全な禁酒が求められます。また、非アルコール性脂肪性肝疾患の人も、肝臓への負担を避けるために節酒が推奨されます。

睡眠の質を高めることやストレスをうまく管理することも、肝機能の改善に有効です。自律神経の乱れは代謝異常やホルモンバランスの変化を引き起こし、脂肪肝に悪影響を及ぼす可能性があります。

脂肪肝そのものに対する特効薬は現在のところ存在しておらず、薬物療法は糖尿病や脂質異常症などの合併症がある場合にそれらの管理目的で使用されます。従って、脂肪肝を改善するには日常生活の中でできる予防、改善行動が最も効果的です。

繰り返しにはなりますが、脂肪肝は早期に対策を取ることで、元の正常な肝臓の状態に戻すことも可能です。無理のない範囲で食事や運動、生活習慣を見直し、継続的な取り組みを行っていきましょう」

Q.脂肪肝を防ぐには、日頃からどのような対策が求められるのでしょうか。

安江さん「脂肪肝は『沈黙の臓器』である肝臓に少しずつダメージが蓄積していく病気です。症状が出にくいため、発見が遅れがちで、気付かないうちに進行してしまうことがあります。そのため、日頃からの予防が何よりも大切です。先述の内容と重なる部分もありますが、予防のために意識すべきポイントは次の通りです」

・栄養バランスの良い食生活を心掛け、腹八分目を意識する

・野菜や魚、大豆製品などを積極的に取り入れる

・過度なアルコール摂取を避ける。できれば休肝日を設ける

・1日20〜30分程度のウオーキングなど、定期的な運動を習慣化する

・体重を適切に管理する。体格指数である「BMI(ボディ・マス・インデックス)」が25以上の人は特に注意が必要

・健康診断での肝機能(ALT、ASTなど)のチェックを怠らない

 また、脂肪肝の家族歴がある人や、過去に脂肪肝と診断されたことがある人は、再発リスクが高いため、特に注意が必要です。

 食事や運動、飲酒、ストレス管理など、肝臓にやさしい生活を意識しながら、自分の体としっかり向き合うことが、将来の深刻な肝疾患を防ぐ第一歩となります。

(オトナンサー編集部)

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安江千尋(やすえ・ちひろ)

天王寺やすえ消化器内科・内視鏡クリニック院長、総合内科専門医、消化器病専門医、内視鏡専門医

がん専門病院で長年にわたり消化器がんの診療・内視鏡治療に従事した後、2024年に「天王寺やすえ消化器内科・内視鏡クリニック」(大阪市天王寺区)を開院。苦痛の少ない内視鏡検査と患者に寄り添う丁寧な診療で、地域医療に貢献している。特に胃・大腸の早期がん発見と内視鏡切除を専門とするほか、脂肪肝や肝機能障害をはじめとした肝臓疾患の診療にも力を入れている。天王寺やすえ消化器内科・内視鏡クリニック(https://tennoji-naishikyo.com/)。

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