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【賛否】「すっぴんで出社なんて非常識」…メイクは“社会人のマナー”なのか? 専門家に見解を聞く

SNSなどで賛否が分かれている「すっぴんで出社する」ことの是非。「メイクは社会人のマナー」といえるのか、マナーコンサルタントに見解を聞いてみると……。

ノーメイクは「非常識」なのか…?
ノーメイクは「非常識」なのか…?

 SNS上などで定期的に巻き起こる「化粧をせずに“すっぴん”で出社すること」に関する議論。その賛否はくっきりと分かれているようで、「社会人になったら最低限のメイクは必要でしょ」「メイクは社会人のマナーだと思うよ」「接客業じゃないなら、ノーメイクでも別に問題ないのでは?」「すっぴんで出社なんて非常識。社会人失格」「ノーメイクはビジネスの相手に失礼だと思う」「メイクしてもしなくても、清潔感が一番大事」といった多種多様な意見が飛び交っています。

「すっぴんで出社」について、マナーの専門家はどう考えるのでしょうか。ヒロコマナーグループ代表で、企業価値を高める人財育成コンサルティングをはじめ、皇室のマナー解説やNHK大河ドラマ「龍馬伝」、NHKドラマ「岸辺露伴は動かない 富豪村」、同シリーズ最新作「密漁海岸」のマナー指導などでも活躍するマナーコンサルタント・西出ひろ子さんに、見解を伺いました。

大切なのは「清潔感」

Q.ネット上では「すっぴん(ノーメイク)で出社するのはマナー違反」「メイクは社会人のマナー」といった声が散見されますが、これについてどう思われますか。

西出さん「まず、『すっぴん(ノーメイク)で出社するのはマナー違反』と言い切ることではないでしょう。アレルギーなどでメイクのできない人もいらっしゃいます。

また、『メイクは社会人のマナー』と決めつけることも控える方がよいと考えます。理由は、マナーの本質は『相手の立場に立つ』ことだからです。やむを得ない事情でメイクができない人もいらっしゃることに思いを寄せることが、本来のマナーです。

ただし、会社に勤務なさっている方は、会社の規則に従うことは大切です。もし、自社の規則にて『ナチュラルメイクをしましょう』とあれば、それに従います。どうしてもメイクができない理由があれば、上長へ伝えれば誤解されずに済みます。また会社側も、規則に補足として、アレルギーなどでメイクのできない人への配慮のひと言を添えておくとよいですね」

Q.ビジネスシーンにおける「メイク」の在り方とは。

西出さん「まず、『相手がどう思うか』という視点を持つことが大切です。理由は、評価は相手からされるものだからです。よい評価をもらおうと思えば、相手目線に立つマナーは鍵(キー)となります。

例えば、メイクをせずにすっぴんで出社すると、『寝坊してメイクをする時間がなかったのかな』などと思われる可能性は否めません。それが『時間管理のできない人』という印象につながっては、もったいないことです。服装や髪形を整えるのと同じように、メイクも身だしなみの一つとして捉えてみてはいかがでしょうか。少なくとも、ファンデーションと口紅をした方が、顔色がよく見え、健康的な印象を与えます。

メイクの仕方は、その人や職業によって異なりますが、一般的には、肌の色とマッチする色のファンデーションを肌になじむように付けた後、パウダーで軽く押さえ、眉毛を整えます。アイラインは薄く細く入れてもよいですが、入れない方が自然です。顔色を明るく見せるには、アイシャドウも薄く付け、チークも頬骨の辺りに少しだけ付けます。唇が荒れるなどで口紅に抵抗のある人は、色付きのリップクリームをつけるだけでも、ほんのり明るい印象になります。

身だしなみで大切なことは、清潔感です。メイクも自身の体質を優先した上で、会社の規則にのっとり、清潔な印象を与えることで、相手の心をプラスにすることにつながります。ビジネスマナーは、ウインウインの関係を築くことにあるのです」

(オトナンサー編集部)

西出ひろ子(にしで・ひろこ)

マナーコンサルタント、マナー解説者、美道家

ヒロコマナーグループ代表。一般社団法人「マナー&プロトコル・日本伝統文化普及協会」代表理事。大妻女子大学卒業後、国会議員などの秘書職を経て、マナー講師として独立。マナーの本場英国へ。オックスフォードにて、オックスフォード大学大学院遺伝子学研究者のビジネスパートナーと1999年に起業し、お互いをプラスに導くマナー論を確立させる。帰国後、名だたる企業300社以上にマナーコンサルティングなどを行い、他に類を見ない唯一無二の指導と称賛される。その実績はテレビや新聞、雑誌などで「マナー界のカリスマ」として多数紹介。「マナーの賢人」として「ソロモン流」(テレビ東京)などのドキュメンタリー番組でも報道された。NHK大河ドラマ「龍馬伝」をはじめ、NHKドラマ「岸辺露伴は動かない 富豪村」、映画「るろうに剣心 伝説の最期編」などのドラマや映画、CMのマナー指導・監修者としても活躍中。著書は28万部突破の「お仕事のマナーとコツ」(学研プラス)、16万部を超える「改訂新版 入社1年目 ビジネスマナーの教科書」(プレジデント社) など監修含め国内外で100冊以上。「10歳までに身につけたい 一生困らない子どものマナー」「かつてない結果を導く 超『接待』術」(共に青春出版社)など子どものマナーから、ビジネスマナー、テーブルマナーなどマナーのすべてに精通。ヒロコマナーグループ(http://www.hirokomanner-group.com)。
※「TPPPO」「先手必笑」「マナーコミュニケーション」「真心マナー」は西出博子の登録商標です。

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