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5月は「頑張っていた子」がふと立ち止まる時期…子どもの“登校しぶり”に親ができること【3ステップ】

思春期の子どもには“距離感”と“信頼感”が鍵

 思春期は「自分でなんとかしたい」という気持ちも強くなる時期。中学生以上になってくると、親の介入を嫌がる傾向も出てくると安藤さんは指摘します。

「親が積極的に学校に働きかけるエネルギーはあまり出さない方がよいケースが増えてきます。また子どもも、自分一人で時間を過ごすことを好み始める頃です。従って、なるべく早めに子ども本人としっかり会話し、環境を変えることも含めて親子で話し合っていくことも大切だと考えます。

 とはいえ、いきなりそんな話からではなくて、学校の様子を聞くところから始めて、励ましながら……でよいかと思います。それでも何か異変や様子が気になると感じたら、夏休みあたりをめどに、環境を変えていくことを明るく話し合っていくこともよいかもしれません」

「あくまで明るく」がキーポイントであると言う安藤さん。この時期の子どもは、無理に関わるより、“いつでも話せる雰囲気”を保つことの方が大切です。本人と少しずつ会話をしながら、“環境を変える”ことも選択肢に入れて、一緒に考えていけるのがベターでしょう。

親の表情は、子どもの“安心の源”になる

 そして最後に、安藤さんが最も強調するのが、親の「表情」と「態度」の持つ力です。

「言うまでもなく、何より大切なのは、親がその子を信じ抜くことによって生まれる“自己重要感”です。『自分は不適合だったのか』と、子ども自身がネガティブに思わないことが大切です。

ですから、親の笑顔も大切です。あっけらかんと笑っているくらいでちょうどいい。心の中は不安でも、親が難しい顔をしていると、子どもは『自分のせいだ』と責め始めてしまうんです。『人生は、どんな方法でも何とかなる』……そんな明るさと元気さを、大人が背中で見せることが大切です」

 とはいえ、親だって完璧ではありません。不安にもなるし、悩んで当然。不安を感じるその気持ちも踏まえて、安藤さんはこう語ります。

「親は、子どもの応援団にしかなれません。だからこそ、子ども以上に深刻にならないこと。お子さんの年齢によって対応の方法は違っても、『よく見て、そして明るく』という基本の姿勢は変わりません。それを意識して日々向き合っていただけたら、きっと子どもは安心できますよ」

【まとめ:「学校に行きたくない」と言う子に、親ができる3つのこと】

(1)「学校で何が起きているか」を把握することから始める
→ 担任の先生と連携し、子どもが安心できるきっかけを探す

(2)家庭を“戻れる居場所”として整える
→ 無理に聞き出さず、普段通りに接することで“心の安全地帯”をつくる

(3)深刻になりすぎず、笑顔でいる勇気を持つ
→ 親の表情は、子どもにとって最も強力な“安心のサイン”になる

 親の笑顔は、子どもにとっての“居場所”そのもの。子どもの年齢によって対応が異なる部分もあれば、共通している部分もあります。「よく見て、そして明るく」で対応していくことを心がけてみてはいかがでしょうか。

 困ったときこそ、親の“あっけらかんとした優しさ”が子どもに届く――。そんな心構えで、この季節を乗り越えていきましょう。

(オトナンサー編集部)

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安藤大作(あんどう・だいさく)

株式会社安藤塾 代表取締役/親子問題研究家

1969年三重県伊勢市生まれ。幼少時、両親が離婚。その後、母親と離れての生活、預け入れ先での大家族の環境で育つ。その過程の中で、自身の心の闇と葛藤し、自死の一歩手前までに追いつめられる。そこから自分の内面に向かう旅を始め、多くの真理と愛に気付く。人間・人生の素晴らしさ、誰しもが無限の可能性をもっていることを伝えるために、1991年、信州大学卒業と同時に8畳一間の看板もパンフレットもない状況での安藤塾を開設。不登校、不良問わず、子どもたちに熱心に関わり、合格実績ほか子どもたちの人間的に成長することから、口コミを中心に多くの生徒が通うようになる。その後、400人近い生徒を1人で指導し、地域の有名塾になる。現在は十数校舎まで拡大し、県下トップのクラスの塾グループとなる。2002年、新たに講師を加え、安藤塾として看板を掲げる。現在は十数校舎まで拡大し、2000人の生徒を有する県下トップのクラスの塾グループとなる。学習塾の他に、保育園、学童保育、サッカークラブ、海外留学など、さまざまな教育活動を展開。氏の考え方や指導法は、県下でも高く評価され、多くのマスコミにも取り上げられている。

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