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「優柔不断」な人の“特徴”とは うつが原因のケースも 心理カウンセラーが教える克服法

優柔不断で物事をすぐに決められず、困ったことはありませんか。優柔不断な人の心理状態について、心理カウンセラーに聞きました。

優柔不断な人の特徴とは?
優柔不断な人の特徴とは?

 買い物や外食の際、購入する商品や注文する料理がすぐに決められず、しばらく悩んでしまう人がいます。このように物事をなかなか決められない状態は「優柔不断」といわれますが、どのような心理が働いているのでしょうか。優柔不断な人の心理状態や病気の可能性のほか、優柔不断を克服できるのかについて、心理カウンセラーの平井綾乃さんに教えていただきました。

自信がないと判断に迷いやすい

Q.優柔不断な人の心理は、どのような状態なのでしょうか。

平井さん「まず、一般的に自信が乏しい人は判断に迷いやすいので、優柔不断になりやすいです。あるいは自分で決められるはずのことを決めない状態ならば、自分でリスクや責任を負いたくないという心理が働いていると思います。選択を失敗したとしても他人のせいにできますからね。

一方、優柔不断にはいくつかのタイプがあると分析する研究者もいます。具体的には、結果をよく考えて判断するために時間がかかる『熟考タイプ』、判断から回避し、先延ばしにする『先送りタイプ』、不安によって決断できない『不安タイプ』、誰かの意見によって判断したいためすぐに決断できない『他者参照タイプ』の4種類です。

このほか、『うつ』になると思考力が低下するので、症状の一つとして物事を決められないということが起こり得ます。この場合は『もともと優柔不断ではなかった』あるいは『何か判断力低下を引き起こすきっかけがあった』といった点が見極めのポイントです」

Q.では、優柔不断な状態がひどい場合、精神的な病気の可能性はあるのでしょうか。受診の目安も含めて、教えてください。

平井さん「優柔不断で周囲に決定権を委ねた後、何か気に入らないことがあったときに、決定した人を強く責めて対人関係を損ねる場合、性格の偏りでパーソナリティ障害の可能性があります。ただしその場合、病識も乏しいので、受診にはつながりづらいと思います。

一方で『うつ』による思考力低下の場合は、学業や仕事の能率に支障が出ている状態など、『心身に症状が現れて2週間以上たつ場合』が一般的な受診の目安といわれています。

精神的には、優柔不断になる症状のほかに『趣味や好きだったことへの興味を失う』『人付き合いが苦手になる』『落ち込んだ状態がずっと続く』といった症状も見られます。体に現れる症状としては、睡眠の質が低下したり体の倦怠(けんたい)感が抜けなかったりするほか、体重の急激な変化や胃腸症状なども特徴的です。優柔不断になっており、かつこういった症状が見られる場合は、うつ病を疑っても良いでしょう」

Q.優柔不断な性格を克服することは可能なのでしょうか。克服する方法も含めて、教えてください。

平井さん「優柔不断な性格を変えることは、可能です。しかし『自分で自分のことを選択できたという実績の積み重ね』からしか克服することができません。すぐに変わることは難しいので、まずはどんなささいなことでも『自分が何をしたいか』『自分がどうしたいか』を考えて行動してみてください。自分で選んだことには納得が伴いますから、それが良い方に転んでも悪い方に転んでも、『まぁいっか』と思えるものです。

一方、うつで優柔不断という症状が出ている場合、まずは治療を優先しましょう。その間はむしろ、大事なことは決めないでおくのが安心です。うつが回復すると、失っていた自信も回復して、決められなかったことが決められるようになります。

多くの場合、うつ病の患者は物事の判断力が鈍くなっている可能性があることから、正常な判断が難しい状態にあるかもしれません。その状態で物事を決めると、後で後悔する可能性もありますよね。例えば、うつ病になった勢いで仕事を辞めた場合、治療が進行して症状とうまく付き合っていけるようになったときに『仕事を辞めなければ良かった』と考えることもあるでしょう。

このように後で後悔しないためにも、うつ状態にあるときは大きな決断をせず心身を休めることが大切ですね」

* * *

 誰しも、悩んだり迷ったりすることはあります。しかし、毎回立ち止まって悩んでいるようでは大変ですよね。元の「性格」のせいなのか「うつ」の症状なのか、しっかり見極める必要がありそうです。性格が影響している場合は「自分で自分のことを決めていく」ことが重要です。どんな結末になっても、自分の判断に納得できるようになれば優柔不断卒業への大きな一歩を踏み出せたと言えるでしょう。

(オトナンサー編集部)

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平井綾乃(ひらい・あやの)

心理カウンセラー

https://tokyo-anone.com/

臨床心理士・公認心理師・キャリアコンサルタント
大学院修了後より精神科クリニックや、公立中学校(スクールカウンセラー)・大学学生相談室等でカウンセリング業務に従事し、小学生〜シニア層まで幅広い世代の相談を受ける。医療領域では精神分析を参考にした心理療法や心理検査のほか、休職者の復職支援、うつ病の先進技術(TMS治療)への心理療法などを経験。教育領域では、不登校や発達障害の子どもとの関わりや保護者・教員への助言を行う。キャリアコンサルタントとして成人のライフステージに応じたキャリア相談の経験も豊富。近年では特に不妊治療の心理カウンセリングに力を入れている。カウンセリングオフィス東京anone

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