「無印良品」の良品計画、冷凍食品事業に参入 9月末から4店とネットで、その狙いとは
「無印良品」を展開する良品計画が、冷凍食品の販売を始めました。「食」分野の強化が狙いです。
雑貨、日用品などのブランド「無印良品」を展開する良品計画(東京都豊島区)が、冷凍食品の販売を始めました。おにぎりや煮物、餃子(ギョーザ)やパンなど、さまざまな食品がそろっており、SNS上では「気になる」「食べてみたい」「ストックしたい」「すでに売り切れの商品もあった」などと話題になっています。冷凍食品を発売した経緯について、同社の広報担当者に聞きました。
2030年までに食品部門の売り上げ3割に
冷凍食品は「イオンモール堺北花田」「越谷レイクタウン」「イオンモールKYOTO」「グランフロント大阪」の4店限定で9月28日に発売しました。このほか、無印良品のネットストアでも販売中です。
商品は全50品目。ネットストアでは「世界の煮込み」「日本の飲茶(やむちゃ)」「世界のごはん」「素材を生かしたお惣菜」「焼き立ての美味しさ」という5種類のカテゴリー別に商品をそろえており、ビーフストロガノフ、サムゲタンなど海外の料理のほか、おにぎりや大福、きんぴらなど和食もあります。ネットストアにおける各商品の販売価格は250円(税込み)から490円。
良品計画の企画室に聞きました。
Q.なぜ冷凍食品の販売を開始したのですか。
担当者「大きく2つの理由があります。一つは、お客さまに、便利な出来立ての商品を提供したいという思いがあったためです。当社の食品部門はカレーなどのレトルト商品が主力の一つです。共働き世帯の増加や高齢化により、調理にかけられる時間が少なくなってきた世の中のトレンドや、おいしいものを簡単に食べたいというお客さまの声を受けて、レトルト商品の開発を強化してきました。
ただ、食材が煮崩れするなどレトルトに不向きな料理もありました。どうしたら、お客さまにより多くの料理を提供できるか考え、冷凍食品であれば、解凍するだけで簡単においしく食べられるという点に着目しました。
もう一つは、全社で食に関する事業を拡大しているためです。当社では2030年までに、食品部門の売り上げ構成比率を全体の30%まで引き上げる目標を掲げています。そのためには既存分野の品ぞろえだけではなく、未開の分野に手を伸ばしていく必要があると考え、開発に至りました」
Q.商品化する料理を決める上で基準はありますか。
担当者「『世界の煮込み』など5つのテーマをもとに商品開発を行っています」
Q.商品開発にかかった期間は。また、工夫したことは。
担当者「約1年前に着想し、昨年末ごろから開発を始めました。冷凍の状態でも商品をおいしく見せたいという思いや、中身が見える安心感を重視することから、透明のパッケージを採用しました。また、すべての商品で化学調味料を使用していません」
Q.製造元は。
担当者「お取引先さまの国内の工場で製造しています」
Q.なぜ店舗を限定して販売を開始したのですか。
担当者「販売を始めた4店については、店内のスペース上、冷凍食品の設備導入が可能だったためです」
Q.冷凍食品の発売に関して、どのような意見が寄せられていますか。
担当者「他社の冷凍食品ではあまり見られない品ぞろえに興味をお持ちいただいているようです」
Q.どの商品が人気ですか。
担当者「『もち麦ごはんの枝豆塩昆布おにぎり』『五穀米ごはんの鮭(さけ)おにぎり』『国産黒豚入り餃子』『キンパ(韓国風のりまき)』『チキンとほうれん草のキッシュ』『ホットサンド ベーコン&チーズ』などが特にご好評を頂いています」
Q.ファミリーマートやサークルK・サンクスに冷凍食品を卸す予定はありますか。
担当者「ありません」
Q.販売目標は。また、取扱店舗の拡大予定は。
担当者「具体的な販売目標や、今後の計画についての回答は控えさせていただきます」
良品計画の2018年3~8月期の連結決算は、売上高にあたる営業収益が前年同期比10.0%増の2012億円、営業利益は同11.5%増の235億円、純利益は同24.1%増の181億円でした。国内既存店における食品部門の売り上げも同13.0%増と順調に推移しています。冷凍食品を取り扱う店舗が増えれば、食品部門のさらなる売り上げ拡大が予想されます。
(報道チーム)
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