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シニア世代の幸福は「ゴリラに学べ」!? 若者にマウントを取り続ける中高年にはない「ゴリラ的」行動とは

幸福なのは「ゴリラ的」シニア?

 中高年の中には、いつまでも若者と張り合い、経験や知恵の不足を理由に若い世代を下に見て、自慢話や自分の話ばかりをしゃべりたがり、常にいわゆる「マウント」を取ろうとする人がいます。同世代に対して、地位や名誉やお金をちらつかせながら上に立とう、勝とうとする人もいます。

 権利や受益者としての立場ばかり主張する。そして、上に立っている(と思い込んでいる)自分の立場を脅かすものに対しては、サルのようにすぐに興奮し、怒りを露わにする。「サル・シニア」といえるかもしれません。

 現役時代、会社で偉いポジションに就いていた頃なら、そんなサル的な姿勢も、その実績や権限がゆえに周囲が認め、忖度(そんたく)し、容認もされたでしょうが、引退後に環境が変わってしまえば、単に嫌がられ、遠ざけられる要素にしかなりません。そうして孤立を深める結果となるでしょう。

 一方、楽しそうに暮らしておられる高齢者を見ると、これとは正反対。同世代にも若者にも、年齢やその他の属性などは気にせず、上下や優劣といった意識もなく、誰に対しても同じように丁寧に、でも愛嬌やユーモアを持って接しています。立派なキャリアや業績、趣味や活動などについても自分からは話されないので、聞いて初めて驚いたり、感心したりすることも少なくありません。

 マウントを取るどころか、むしろ控えめ。いつも平常心で穏やかで、ご機嫌にしていらっしゃる。「サル・シニア」と対照させ、敬意を込めて「ゴリラ・シニア」と呼びたいと思います。

ゴリラに学ぶ「質のよいコミュニティーづくり」

 人間は社会的動物で、そもそも「サル社会」には向いていません。年を取ると余計にそうで、日常のちょっとしたことを含めて、いろいろな手助けを得たり、互いに助け合ったりという必要が生じてくるからです。「サル・シニア」はそこをあまり分かっていません。だから、高齢期に幸福になりやすいのは「ゴリラ・シニア」なのですが、それでも「サル化」していく世の中では、幸せに生きることが難しくなっているのかもしれません。

 高齢期の健康維持や幸福感の向上について、医療・看護・介護などの分野を含む多くの研究者がコミュニティーの重要性を指摘するようになってきました。ただし、単に集まればいいということではありません。共助や互助が実現するための、相互理解や互いへの敬意、豊かな関係性や交流があることがポイントとなります。そして、そんな質のよいコミュニティーづくりは、ゴリラに学べということです。

(NPO法人・老いの工学研究所 理事長 川口雅裕)

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川口雅裕(かわぐち・まさひろ)

NPO法人「老いの工学研究所」理事長、一般社団法人「人と組織の活性化研究会」理事

1964年生まれ。京都大学教育学部卒。リクルートグループで人事部門を中心にキャリアを積む。退社後、2012年より高齢者・高齢社会に関する研究活動を開始。高齢社会に関する講演や執筆活動を行うほか、新聞・テレビなどのメディアにも多数取り上げられている。著書に「年寄りは集まって住め ~幸福長寿の新・方程式」(幻冬舎)、「だから社員が育たない」(労働調査会)、「チームづくりのマネジメント再入門」(メディカ出版)、「速習! 看護管理者のためのフレームワーク思考53」(メディカ出版)、「なりたい老人になろう~65歳から楽しい年のとり方」(Kindle版)、「なが生きしたけりゃ 居場所が9割」(みらいパブリッシング)、「老い上手」(PHP出版)など。老いの工学研究所(https://www.oikohken.or.jp/)。

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