「自己肯定感」を高めることはできる? コツを心理カウンセラーに聞いてみた
「自己肯定感」を高める方法について、心理カウンセラーに聞きました。
近年、「自己肯定感」という言葉を聞くようになった人は多いのではないでしょうか。ネット上では、自己肯定感を高めると、人生が豊かになると主張する意見もあります。そもそも、自己肯定感とはどのような感情を指すのでしょうか。自己肯定感を高めるには、どうしたらよいのでしょうか。心理カウンセラーの平井綾乃さんに教えていただきました。
Q.「自己肯定感」とは、どのような感情のことを指すのでしょうか。
平井さん「研究者や文脈などによって概念が異なることもありますが、一般的には、『ありのままの自分自身を肯定する感情』と言えるのではないでしょうか。
『他者と比較することなく、現在の自分を尊重できる』『長所ばかりでなく短所も含めて、自分自身を価値ある存在として評価する感情』といった定義もあります」
Q.自己肯定感が高い状態、もしくは低い状態というのは、具体的にどのようなものなのでしょうか。
平井さん「自分の在り方に肯定的であるということは、今の自分自身の状況が『これでいいんだ』と納得できる状態であることが前提にあると思われます。
とはいっても、『自分は天才ですごい存在だ』というおごりや万能感のようなものではなく、むしろ自身の不完全さをも認めて『できないことがある自分でもいい』と判断できる状態と言えるでしょう。
自己肯定感を高く保つことによって、情緒の安定や感情のコントロールが容易になります。その結果、対人関係を構築できるようになるほか、物事をポジティブに捉え、前向きに取り組みやすくなるでしょう。
一方で自己肯定感が低い場合、不必要に他人と比較したり、『こんな自分ではダメだ』と自責を繰り返したりする傾向にあります。
また、失敗や評価を恐れたり、負の感情に支配されやすくなったりすることで、『失敗したくない』『自分なんてできない』と回避行動を取るようになります。日本人の場合、諸外国と比較して自己肯定感が低い人が多いという研究結果も出ています」
Q.では、自己肯定感を高めるにはどうすれば良いのでしょうか。
平井さん「アプローチの方法はいくつかあるのですが、今回は『過去の再評価』と『成功体験を少しずつ積み重ねる』という観点をご紹介します。
自己肯定感が低い傾向にある人は、例えばご自身に厳しいことも多いです。そうすると努力を重ねて成功体験を得たとしても『これくらいできて当たり前』と片付けてしまうこともあります。そのため、過去のエピソードの場合は『あのときは自分なりによく頑張った』と再評価したり、肯定したりすることを心掛けるのも重要です。
とはいっても、客観的に自分自身を再評価することは難しさを伴うため、心理領域の専門家に相談することも解決策の一つとしておススメです」
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自己肯定感は、自分自身の芯にある部分や価値観、言動、態度などを左右する非常に重要な感情です。すぐに高めようと思っても難しいかもしれませんが、まずは必要以上の自責・否定的な感情に気付くことが重要です。
客観的に自分自身の感情を捉えることで、少しずつ自分自身を受け入れられるようになるかもしれません。
(オトナンサー編集部)
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