解雇無効ならば「月収の0.84倍×勤続年数」? 導入検討される「金銭解決制度」とは
相場は「適正でない」、本来は定年までの賃金
Q.そもそも「労働審判」とはどのような制度ですか?
藤原さん「労働審判は、労働者と事業者間の紛争を、原則3回以内の期日で迅速に解決することを目的に、2006年4月にスタートした制度です。労働審判官1人と労働審判員2人で構成する労働審判委員会が事案を審理し、調停を試みるものですが、調停がまとまらなければ、事案の実情に応じて判断を下します」
Q.労働審判で「解雇無効」とされても、職場に復帰するよりは、金銭で解決されることが多いのでしょうか?
藤原さん「はい。労働審判で解雇無効とされ、その判断が確定しても、事業者や労働者が職場復帰を希望することは現実には少なく、結局は金銭で解決されることの方が多いようです」
Q.今回示された“相場”は適正と言えますか?
藤原さん「適正とは言いがたいものです。解雇無効の場合は本来、事業者は労働者の定年までの賃金を支払わなければなりませんが、それに比べると、今回示された相場はずっと少ない金額だと思います」
Q.日本で金銭解決制度が検討される背景はどのようなものでしょうか?
藤原さん「解雇無効が争われる場合、その時点で事業者と労働者の間の信頼関係は破綻していることが多いため、仮に解雇無効とされても、職場復帰が必ずしも“妥当な解決”にはならない、という事情がこの制度の趣旨とされます。しかし、この制度では、解雇無効であっても一定の金銭さえ支払えば、事業者が労働者を解雇できることにもなりかねず、労働法制の根幹が揺らぐ可能性があります。職場復帰がどうしても嫌であれば、解雇無効を前提として、当事者同士が協議・和解によって解決する道もあります」
Q.日本に金銭解決制度は根付くでしょうか?
藤原さん「金銭解決制度は、これまでの労働法制からすれば異質と言え、日本に根付くのは難しいのではないでしょうか」
(オトナンサー編集部)

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