“悪夢”を繰り返す…「怖い夢」見る原因は? 病院行くべき? 心理カウンセラーが解説
就寝中に怖い夢を見る原因や、怖い夢を繰り返し見る場合の対処法について、心理カウンセラーに聞きました。
寝ているときに怖い夢を見て、目が覚めた経験はないでしょうか。SNS上では、「最近、怖い夢を見るようになった」「悪夢の原因が分からない」「怖い夢は記憶に残るから嫌」といった内容の声が上がっています。
なぜ就寝中に怖い夢を見ることがあるのでしょうか。繰り返し怖い夢を見る場合、どのように対処したらよいのでしょうか。心理カウンセラーの芙和せらさんに聞きました。
「願望」「ストレス」「トラウマ」が原因
Q.そもそも、就寝中に怖い夢を見る原因について、心理的な観点で教えてください。
芙和さん「怖い夢は次の3種類に分類できます」
(1)心の奥底にある願望が原因で怖い夢を見る
例えば、自分が死ぬような夢を見た場合、「縁起でもない!」と感じ、目覚めたときにドキドキすることがあります。ただ、これは自分が死ぬという予知夢などではなく、現在の自分にふがいなさを感じていて、強い自分に生まれ変わりたいという願望が潜在意識や無意識にある場合によく見る夢です。
親を殺してしまうという夢を見た場合も怖いですが、これも親から自立したいという願望が表れていることが多いのです。
私たちは、自分の心の奥底の願望を押し殺して生きています。それが寝ている間にメッセージとして夢に出てくるのです。夢によって、強い自分に生まれ変わろうとあがいている自分に気付いたり、親から自立したい自分に気付いたりすることで、より幸せな生き方を模索することができるのです。
(2)ストレスフルな現実が夢に反映される
「仕事の納期に追われている」「失敗するかも」と恐れているときに見る怖い夢は、日常生活のストレスが反映されています。「怪物に追われている」「大事な書類を紛失する」などの夢は、たいていは現実世界で感じているものがそのまま表れているケースが多いでしょう。
(3)心的外傷後ストレス障害(PTSD)などの症状として、悪夢を繰り返し見る
3つの中で深刻なのはこのケースです。災害や事故などで命に危険を感じたような場合、トラウマ(心的外傷)が原因になり、繰り返し悪夢を見ることがあります。このとき、事故や災害の場面が繰り返し、怖い夢となって再現されるのです。大きな心の傷が原因になっているため、自分だけで解決することは難しいです。
Q.以前に比べて怖い夢を見る機会が多くなった場合、どのような原因が考えられますか。
芙和さん「転職や異動などで生活が大きく変化する時期は、日中の緊張感が就寝時にまで残り、眠りが浅くなりがちです。そのため、夢を見たり、夢の内容を覚えていたりすることが多くなります。この時期にストレスを感じていると、怖い夢を見る機会が増えるでしょう。たいていは同じような怖い夢を繰り返し見ることが多いので、自分なりに原因を探ってみましょう」
Q.怖い夢を見る機会が増えた場合、どのように対処したらよいのでしょうか。心療内科や精神科を受診すべき目安も含めて、教えてください。
芙和さん「先述の3つのケースに基づいて対策を解説します。
『願望が原因で怖い夢を見る』の対策ですが、夢分析の知識を持つ、または夢分析に詳しい心理カウンセラーと話をすることで、自分が心の奥底にしまっている願望などを知ることができます。怖い夢であっても幸せな生き方を見つける道しるべになる夢のため、自分の人生に役立てることができます。
『ストレスフルな現実が夢に反映される』の場合は、現実生活におけるストレスの原因に向き合い、ストレスを緩和する必要があるでしょう。運動のほか、カラオケなどの趣味による気分転換に取り組むと、ストレスが改善していきます。
また、仕事が原因でストレス過多になっている場合は、うつ病などの精神疾患に陥らないためにも、上司や人事担当者などに相談して、無理のない範囲で仕事ができるように環境を調整することをお勧めします。家庭の問題によるストレスの場合も、自分だけで抱え込まずに誰かに相談してストレスを緩和しましょう。放置しておくと、精神疾患に至る場合があります。
就寝前は、ストレスの原因になっていることから心を解放するのに最適な時間帯です。瞑想(めいそう)や腹式呼吸で心を穏やかにするといいでしょう。また、必要以上に物事を深刻に捉えてしまう心癖がある人は、心理カウンセリングなどによって心癖を変えることで、ストレスが軽減されます。ストレスが過多な場合は、1人で抱え込まず、周囲の人に相談することを忘れないでください。
『心的外傷後ストレス障害(PTSD)などの症状として悪夢を繰り返し見る』という場合、心療内科や精神科の医師のほか、心理カウンセラーの助けが必要です。薬物療法や自律訓練法、心的外傷後ストレス障害に特化した心理療法などがあります。
飲酒で気を紛らわそうとすると、アルコール依存症などのリスクがあり、心身ともに疲弊が深まるので注意してください」
(オトナンサー編集部)
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