料理の横の「パセリ」食べてる? 残してる? 実は“栄養価が高い”って知ってた? 管理栄養士が解説
料理の横に添えられる「パセリ」。「食べている人」と「残している人」に分かれるようです。実際どうするのがいいのか、管理栄養士に聞いてみました。
ハンバーグ、サンドイッチ、唐揚げ、ギョーザ…さまざまな料理の横に添えられることが多い「パセリ」。鮮やかな緑で彩りを加える役割も果たしていますが、皆さんはこのパセリを食べますか。それとも、食べずに残しますか。ネット上では「おいしいから食べます」「最後に食べると口の中がさっぱりするから好き」「残すなんてもったいない」という人と、「いつも残してます」「正直、飾りだと思ってる…」「苦みがあって好きじゃないから食べない」という人に分かれるようです。
食べるのか、それとも残すのか……料理に添えられた「パセリ」はどうするのがよいのでしょうか。管理栄養士の岸百合恵さんに聞きました。
精油成分「アピオール」は口臭予防にも有効
Q.そもそも、「パセリ」とはどんな野菜ですか。
岸さん「パセリは地中海沿岸が原産とされるセリ科の植物で、古代ローマ時代から香辛料として使われてきたハーブの一つです。少し独特の香りがあり、味は苦みや渋みがあります。
ヨーロッパでは、平たい形の葉が特徴の『イタリアンパセリ』が一般的であるのに対し、日本では、葉が縮れたようにカールした丸みのある『カーリーパセリ』が主流で、この縮れは品種改良によるものとされています。
日本国内におけるパセリの主な産地は千葉県、長野県です。日本の気候では、春・秋に種をまき、3月〜11月ごろにかけて収穫しますが、ハウス栽培などもされているので、市場には通年出回ります。葉がやわらかくておいしい旬の時期は、3月〜5月ごろと、9月〜11月ごろです。日本ではハンバーグやエビフライなど、洋食の料理に添えるのが一般的です」
Q.パセリには、どんな栄養素が含まれているのですか。
岸さん「パセリは、β-カロテン、ビタミンC、K、E、B群などのビタミン類や、カリウムや鉄分などのミネラルを豊富に含んでいます。量を多く食べるのは難しいと思いますが、免疫力を高める作用のあるビタミンCは120ミリグラム(100グラム中)含まれ、この量はレモンの2倍を上回ります。β-カロテンは7400マイクログラム(100グラム中)で、ニンジンと同じレベルで含まれています。
また、パセリはハーブとしての働きも持ち、香りにもさまざまな働きがあります。パセリ独特の爽やかな香りは、『アピオール』という精油成分によるもので、有害な腸内細菌の繁殖を抑える働きがある他、胃液の分泌を促すため、食欲増進の効果も期待できます。
しかし、このアピオールを一度に多く摂取すると、神経系や腎臓、肝臓に悪影響を及ぼす可能性があります。特に、胃腸が弱っているときや、妊娠中の人はパセリの食べ過ぎに気を付けた方がよいですが、適量であれば問題ありません。
なお、パセリを200グラム食べると、アピオールの危険な摂取量に達するといわれています。200グラムはものすごい量なので一気に食べるということはほとんどないと思いますが、念のため知っておくとよいでしょう」
Q.パセリは料理の添え物になることが多いため、「食べる」人と「食べない(残す)」人に分かれるようですが、実際、食べた方がよいのでしょうか。
岸さん「パセリは、先述したような栄養素を含み、非常に栄養価が高いです。残してしまうのはもったいないので、ぜひ食べてほしいですね。栄養面でいえば、付け合わせの量を食べる程度では少ないので、調理によって摂取量を増やすことができればなおよいでしょう。使い方一つでおいしく食べられるので、積極的に食べたい野菜といえます。
ただ、独特な香りと味で万人受けしにくい食材ではあり、日本の食文化においてもパセリに慣れない部分もあるため、必ず食べなければならないということではありません」
Q.パセリをおいしく食べるための調理法や、注意点とは。
岸さん「パセリの独特の香りを生かし、香味野菜としてソースやドレッシングなどに小さく刻んで加えると、程よく風味がプラスされておいしく食べることができます。ビタミンB群やCは熱に弱いため、このように生で食べられるように調理するとよいでしょう。
汁ごと頂けるポタージュやスープに加えれば、パセリに含まれるビタミンCやカリウムなどを無駄なく摂取でき、独特な香りも比較的和らぐため、食べやすいです。
また、β-カロテンは脂溶性であるため、調理にオリーブオイルを使用したり、マヨネーズやドレッシングに加えたりすれば吸収がよくなります。ちなみに、先述したパセリの香り成分であるアピオールは、口臭予防に有効な成分も含んでいるので、食後に食べることで口臭対策にも役立つでしょう」
(オトナンサー編集部)
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