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外食産業「卵不足」、改善傾向に それでも安心できないワケ 飲食店コンサルタントが解説

鳥インフルエンザの流行などの影響で、卵が手に入りにくい状態となりました。現在、外食産業の卵不足は改善されているのでしょうか。飲食店専門経営コンサルタントに聞きました。

飲食店の卵不足は改善された?
飲食店の卵不足は改善された?

 鳥インフルエンザの流行などの影響で、今年の1月から5月にかけて、卵の供給が不足し、飲食店の中には、卵を使ったメニューの販売を休止する店もありました。外食産業では、現在も卵が調達しにくい状況が続いているのでしょうか。卵の供給不足を通じて、どのような課題が見えてきたのでしょうか。飲食店専門経営コンサルタントの成田良爾さんに聞きました。

卵の価格が高止まりで値上げの可能性も

Q.外食産業では、現在も卵が調達しにくい状況が続いているのでしょうか。

成田さん「今年に入り、鳥インフルエンザの拡大を背景に、『エッグショック』と呼ばれる卵の供給不足や価格高騰などが生じました。外食産業の中でも、特に大手チェーン店では、卵の大量仕入れが困難なことや、仕入れ価格がメニューの価格に見合わないことなどを理由に、卵を使ったメニューの販売を休止したり、販売数量を制限したりするケースが見られました。

中小規模の飲食店でも、卵の価格高騰により、メニューの販売を休止したり、値上げを余儀なくされたりした店がありました。対策として、植物性の原料を使った『代替卵』を使ったメニューを提供する飲食店もあり、特にエッグショックがピークとなった4~5月ごろは、外食業界全体の約30%の企業がこのような措置を取っていました。

現在は、鳥インフルエンザが終息しており、国内の卵の供給量が回復しているほか、加工用の輸入卵が大量に市場に出回っており、メニューの販売休止や販売制限をしている企業は、業界全体の10%未満となりました。外食企業が、卵を調達しにくい状況は解消しつつあると言えます」

Q.エッグショックにより、飲食店の経営にどのような影響が生じたのでしょうか。

成田さん「卵はさまざまな料理で使われています。そのため、『親子丼』や『オムライス』といった卵メニューを中心に提供している店に限らず、多くの飲食店が提供メニューやレシピの変更のほか、提供価格の値上げなどを実施しなければならなくなり、コストの増加など、経営に多大な影響が出ました」

Q.エッグショックから見えてきた課題について、教えてください。

成田さん「従来、鳥インフルエンザは数年に一度、国内で流行する程度でしたが、近年は流行の頻度が高くなっています。そのため、今後は毎年のように鳥インフルエンザが流行する可能性があり、懸念されています。さらに、光熱費や飼料の高騰などにより、現時点で卵の価格は高止まりしている状況です。

卵を使ったメニューの販売休止や販売数量の制限は徐々に解消しているものの、卵の価格の高止まりが続けば、飲食店がさらなる『値上げ』に踏み切らなければならない可能性があるでしょう」

(オトナンサー編集部)

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成田良爾(なりた・りょうじ)

飲食店専門経営コンサルタント

ヴィガーコーポレーション代表取締役。厚生労働省公認レストランサービス技能士(国家資格)、文部科学省後援サービス接遇検定準1級、食生活アドバイザー2級、他。飲食業界25年以上。ミシュランガイド掲載の高級レストランから個人経営の小さな大衆店まで幅広いジャンルの飲食店に携わり、その経験に基づく統計解析および枠にとらわれないアイデアで多くの赤字店を黒字化させてきた実績を持つ。「100年続く店づくり」をモットーに、次世代育成や飲食業の働き方改革などにも力を入れており、食文化普及の他、職業訓練校講師(フードビジネス科)や子育て女性就職支援事業講師なども歴任。現在も多くの飲食店経営者のサポートを手掛ける。飲食店専門のコンサルティング「オフィスヴィガー」HP(http://with-vigor.com/)。

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