スイカの「皮」、食べる? 捨てる? 実は“果肉より豊富”な栄養素も! 管理栄養士に聞いてみた
緑と黒のしま模様が特徴的なスイカの「皮」。この部分を「食べている人」と「捨てている人」に分かれるようです。実際どうするのがいいのか、管理栄養士に聞いてみました。

夏を代表する食べ物の一つ「スイカ」。冷たく冷やしたスイカは、暑い日にひとときの涼を感じさせてくれます。一般的なスイカといえば、緑と黒のしま模様が入った皮が特徴的ですが、皆さんはこのスイカの皮をどうしていますか。ネット上では、「実の部分を食べ終えたら捨てる」人と「皮も食べる」人に分かれているようで、「わが家は皮も食べます」「いろんな調理法があるよね」「漬物にしてポリポリ食べるのが最高」という人と、「捨てます」「食べるという発想がなかった」「食べられるの?」という人に分かれるようです。
スイカの「皮」は食べるのか、それとも捨てるのか、どうするのがよいのでしょうか。管理栄養士の岸百合恵さんに聞きました。
「シトルリン」が果肉の2倍
Q.そもそも、「スイカ」とはどんな食べ物ですか。
岸さん「スイカは4月ごろから出回り始め、8月頃までがシーズンの『果実的野菜』です。90%以上が水分で、赤い果肉には、抗酸化作用のあるカロテンとリコピンが含まれている他、ビタミンB1、B2、Cの他、カルシウム、鉄、カリウムといったミネラル類など多くの成分をバランスよく含んでいます。
また、スイカの果汁から発見された『シトルリン』というアミノ酸の一種が多く含まれており、血管のしなやかさを保つ作用や、血流の流れをよくしてくれる作用、抗酸化作用の他、むくみの解消や集中力アップにも効果的だといわれています。
スイカといえば、大玉で、皮は深緑色に黒いしま模様があり、赤色の果肉に多くの黒い種があるのが一般的ですが、小玉のもの、黄色い果肉、種なしなど、さまざまな品種が多く出回っています。シャリシャリとした食感と、みずみずしい果肉が特徴ですが、皮にハリとツヤがあり、しま模様がくっきりしているものが特においしいとされています。
ちなみに、スイカは中心部ほど甘いため、カットする際は中心部が行き渡るように切り分けると、どれを取ってもおいしく食べられます」
Q.スイカの「皮」には、どんな栄養素が含まれているのですか。
岸さん「スイカは、先述した果肉部分の栄養成分が、皮の部分にも同様に含まれます。ただし、皮の部分はシトルリンやカリウムが果肉よりも豊富で、特にシトルリンは2倍もの量が含まれています」
Q.スイカの皮について、「食べる」人と「食べない(捨てる)」という人に分かれるようですが、この部分はどうするのがよいのでしょうか。
岸さん「スイカは、赤色の果肉部分のみを食べることがほとんどで、皮部分は『食べられないもの』と捨てられることが一般的かと思います。そのまま食べるには甘みが少ない上、青臭さもあって食べにくい部分なので、無理に食べる必要はないと思います。
しかし、文部科学省の『食品成分データベース』によると、スイカの廃棄率は40%です。皮は水分が多く、重みもあります。つまり、1個のスイカのうち、40%もの部分を皮が占めており、捨てられていることになります。
そんなスイカの皮の部分も、調理次第でおいしく食べることができます。果肉の部分より多く摂取できる栄養素もあるので、この夏、ぜひチャレンジしてみていただきたいところです」
Q.スイカの皮をおいしく食べるための調理法や、注意点とは。
岸さん「食べた後の皮を調理に使用するのではなく、食べる前に果肉と皮を分けておけば、調理するときにも衛生的です。そのままだと食べにくいので、深い緑色の皮をむき、皮の白い部分を適当なサイズに切って、お好みの果物や蜂蜜と一緒にミキサーにかけてスムージーにすると、青臭さも気にならず、皮までおいしく食べることができます。
また、ピクルスや浅漬けといった漬物もお勧めです。緑色の皮をむいて切り、調味液と一緒に瓶に入れて、冷蔵庫で一晩置けば出来上がりです。キュウリに似たみずみずしさやシャキシャキ感、そしてあっさりとした味わいが、暑い夏にぴったりです。さらに、冬瓜やズッキーニといったウリ科の野菜の代わりに煮込み料理に加えるのも、青臭さがなくなるのでお勧めです。
スイカは皮が丈夫なので、傷んでも分かりにくいですが、腐るとタネの部分から傷み始め、タネの周りの赤色が強くなります。さらに腐敗が進むと赤黒くなり、食感もゼリーに近い状態となって味やにおいが明らかに変わるため、その場合は食べない方がよいでしょう。
なお、スイカは1玉丸ごとの場合、冷暗所で1カ月程度持ちますが、カットされたものは傷みやすく、冷蔵庫で3日程度しかもたないので、すぐに食べ切るようにしましょう」
(オトナンサー編集部)
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