オトナンサー|オトナの教養エンタメバラエティー

食後、急に「動悸」「手足の震え」「吐き気」…低血糖の可能性 糖尿病専門医がメカニズムを解説

食後、急に動悸や吐き気、手足の震えがし、甘いジュースなどを摂取すると症状が和らぐといった経験をしたことはありませんか? 血糖値が下がった状態なのかもしれません。この「低血糖」について、医師に解説してもらいました。

低血糖の症状とは…
低血糖の症状とは…

 食後、急に動悸(どうき)や吐き気、手足の震えがし、甘いジュースなどを摂取すると症状が和らぐといった経験をしたことはありませんか? それらは血糖値が下がる状態「低血糖」の可能性があります。低血糖のメカニズムや対処について、内科医で糖尿病専門医の市原由美江さんに聞きました。

悪化すると意識障害に… 過度な飲酒が“引き金”にも

Q.食後に動悸、手足の震え、吐き気といった症状が出て、甘いものを摂取すると症状が和らぐというのは、低血糖の症状なのでしょうか?

市原さん「低血糖を起こす原因はいろいろあります。ですが、糖尿病の治療で使われる一部の内服薬やインスリンの影響がほとんどと言えます。

質問のケースは『2型糖尿病』の初期の段階に起こる『反応性低血糖』の可能性があります。食事中の糖質が多いと、血糖値を下げるために膵臓(すいぞう)からインスリンというホルモンが大量に分泌されるのですが、これが数時間後に低血糖を引き起こします。境界型糖尿病、いわゆる“糖尿病予備軍”と言われている人は反応性低血糖が起こりやすいです。まれですが、脳の下垂体から分泌されるホルモンが不足して引き起こされる低血糖や、インスリンを過剰に分泌する腫瘍(インスリノーマ)が原因の低血糖もあります。

Q.改めて、血糖値が下がってしまうメカニズムを教えてください。

市原さん「膵臓から分泌されるインスリンによって血糖値は下がります。糖尿病の治療薬やインスリン注射でインスリンが効き過ぎることで低血糖が起こります。上述の反応性低血糖では過剰なインスリンの影響と言えます」

Q.低血糖になると、体にどんな症状が起きるのでしょうか。

市原さん「動悸、冷や汗、手足の震え、異常な空腹感などが起こり、さらに悪化すると意識障害を起こす場合もあります」

Q.糖質が多い炭水化物の摂取量、また低血糖になりやすい行動やシチュエーションなどはあるのでしょうか。

市原さん「過度な飲酒は肝臓での糖の生成を抑制するので低血糖になる可能性があるため、注意が必要です」

Q.低血糖の症状を改善する方法はありますか。

市原さん「糖尿病の治療薬の影響であれば薬の調整を行いますので、主治医に相談してください。反応性低血糖であれば糖質の過剰摂取を避けることが一番ですが、それでも改善しない場合は反応性低血糖を予防する内服薬もあるので糖尿病専門医に相談してください。ホルモン異常やインスリノーマによる低血糖であれば専門的な治療が必要になります」

Q.低血糖の症状が続いた場合、どのようなタイミングで受診をすれば良いかなどの目安はありますか?

市原さん「糖尿病の治療薬を使っている場合はもちろんですが、薬を使うほどではない糖尿病の人は反応性低血糖の可能性があるので、低血糖を回避する方法を主治医に相談してください。自身で糖尿病という認識がない人は、もし、低血糖の症状が続くようであれば糖尿病専門医に相談することを勧めます」

(オトナンサー編集部)

【役立つ!】急に低血糖になった時に摂取した方が良いモノは? 低血糖になる可能性が高い“行為”も

画像ギャラリー

市原由美江(いちはら・ゆみえ)

医師(内科・糖尿病専門医)

eatLIFEクリニック院長。自身が11歳の時に1型糖尿病(年間10万人に約2人が発症)を発症したことをきっかけに糖尿病専門医に。病気のことを周囲に理解してもらえず苦しんだ子ども時代の経験から、1型糖尿病の正しい理解の普及・啓発のために患者会や企業での講演活動を行っている。また、医師と患者両方の立場から患者の気持ちに寄り添い、「病気を個性として前向きに付き合ってほしい」との思いで日々診療している。糖尿病専門医として、患者としての経験から、ダイエットや食事療法、糖質管理などの食に関する知識が豊富。1児の母として子育てをしながら仕事や家事をパワフルにこなしている。オフィシャルブログ(https://ameblo.jp/yumie6822/)。eatLIFEクリニック(https://eatlife-cl.com/)。

コメント