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犬や猫も「車酔い」するの? 対処法&予防法は? 獣医師に聞いた

愛犬や愛猫と一緒に、車で長時間移動するとき、飼い主にとって心配なのが「車酔い」です。ペットの車酔いの症状や予防方法について、獣医師に聞きました。

犬や猫も「車酔い」する?
犬や猫も「車酔い」する?

 今日からゴールデンウイーク。愛犬や愛猫を連れて、旅行やドライブに出かける計画を立てている人も多いのではないでしょうか。一方で、犬や猫を車に乗せて長時間移動する場合、「車酔いが心配」という飼い主さんもいると思います。

 犬や猫の「車酔い」の症状や予防方法とは、どのようなものなのでしょうか。獣医師の増田国充さんに聞きました。

「車での移動経験」が影響することも

Q.人間と同様に、犬や猫も「車酔い(乗り物酔い)」するのですか。

増田さん「します。車酔いは『動揺病』ともいわれ、私たち人間の他、犬や猫でも見られます。その原因となっているのは、耳の奥に存在する三半規管にかかる加減速などによる影響、またそれに合わせて視覚から入る情報との不一致によって、自律神経系のバランスが乱れることです。

自動車の中で、特にケージ内で長時間揺れが生じる状態でいることによる緊張や不安も要因になります。車独特の雰囲気やにおいが誘発要因になることもあるかもしれません。また、食事のタイミングや、空腹、あるいは食後で満腹な状態で車酔いをしやすくなることもあります。

車酔いによって現れる体の変化として、嘔吐(おうと)、よだれの増加、おなかの不調(下痢など)の他、落ち着きがなくなったり、重度の場合は元気がなくなってぐったりしたりすることもあります」

Q.車酔いをしやすい犬、猫の特徴はありますか。

増田さん「犬や猫の特定の品種が、とりわけ車酔いしやすいということはありません。一方で、個々の性格や車での移動経験などといった要因が、車酔いに関連することがあります。

先述したように、車による移動が非日常的となっている犬や猫にとっては、移動そのものが大きなストレスになります。神経質で怖がりな子の場合は注意が必要です。ケージやクレートに入る機会が少ない子は、移動時の空間が制限されることで不安を抱きやすいです。また、体力が十分でない若齢あるいは高齢の犬や猫の場合も、車酔いを引き起こすことがあるので、十分に配慮が必要です。

これらに当てはまらない場合でも、個体差によって車酔いを起こすことがあります。移動の際には様子をしっかり観察し、事前に取れる対策も講じるとよいでしょう」

Q.犬や猫が車酔いをしてしまった場合、対処法はありますか。

増田さん「車酔いをすると、犬や猫がずっと緊張状態や悪心(おしん)を伴った状態となります。緊張状態を緩和させるために、十分な休憩を取るように心掛けましょう。可能であれば、換気も行うことが望ましいです。窓を全開にすることは安全上難しいのですが、少しだけ窓を開けることでも空気の入れ替わりを促せます。

また、空調を使っても車内の場所によっては高温になることが多く、とりわけケージ内に熱が充満する可能性があります。温度管理と水分摂取を適宜行いましょう」

Q.犬や猫の車酔いを予防するために、飼い主ができることはありますか。

増田さん「車酔いしないようにするための対策をできるだけ取っておくことが重要です。犬や猫にとって、いきなり長時間のドライブは負担になることが予想されます。短時間の移動から慣らしていき、緊張や恐怖心につながらないようにしておくとよいでしょう。

車内の環境を整えることが車酔い対策につながることがあります。強い芳香剤の使用を控える、通気性のいいクレートを選ぶ、直射日光が当たらないようにするなどです。また、動物側の対策として、空腹あるいは満腹状態での移動を避ける、飲み水を用意しておく、動物用の酔い止めを使用する、などがあります。

移動中も換気に気を使いながら、小まめな休憩をして、常に犬や猫の様子をチェックしておきましょう。体調が万全でない場合は、無理をしないことも重要です。急な加減速は車酔いを誘発するので、細やかな気遣いをして、安全運転で行楽を楽しんでいただけたらと思います」

(オトナンサー編集部)

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増田国充(ますだ・くにみつ)

獣医師

北里大学卒業。愛知、静岡県内で勤務後、2007年にますだ動物クリニックを開院。一般診療のほか、専門診療科として鍼灸や漢方をはじめとした東洋医療を行っている。国際中獣医学院日本校事務局長兼中国本校認定講師、中国伝統獣医学国際培訓研究センター客員研究員、日本ペット中医学研究会学術委員、AHIOアニマルハーブボール国際協会顧問、専門学校ルネサンス・ペット・アカデミー非常勤講師。ますだ動物クリニック(http://www.masuda-ac.jp)。

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