子どもの習い事、「本人がしたいもの」「親がさせたいもの」…どっちにすべき? 子育てアドバイザーに聞く
子どもの習い事を決めるとき、「本人がしたいもの」と「親がさせたいもの」、どちらを選べばよいか悩む親は多いようです。上手な選び方やNG行為を、子育てアドバイザーに聞きました。
スイミングや英会話、そろばん、ピアノ…多岐にわたる子どもの「習い事」ですが、皆さんはわが子の習い事をどのように決めましたか。「本人がやりたいと言ったから」「親として習わせたかったから」など、大きく「子ども本人の希望」と「親の希望」に二分されると思われますが、これについて「本人がやりたいことなら続きそう」「親のエゴで決めるのはよくない気が…」「将来、役に立ちそうな習い事を親が選ぶのは悪くないと思う」など、さまざまな意見があるようです。
子どもの習い事を決めるとき、「本人がしたいもの」と「親がさせたいもの」、どちらにするのがよいのでしょうか。子育てアドバイザーの佐藤めぐみさんに聞きました。
「子どもの希望を尊重」が望ましいように見えても…
Q.未就学〜小学校高学年までの時期に、子どもに習い事をさせることについてどう思われますか。
佐藤さん「基本的には、子どもの習い事はメリットが多いと考えています。例えば、『新たなスキルを得る』『習い事先で友達ができる』『集団行動の経験になる』『自制心が身に付く』『他の大人と触れる機会になる』『生活にリズムが生まれやすい』などでしょうか。
一方で、マイナスになる側面も持ち合わせていると思います。例えば、『詰め込み過ぎて自由な時間がない』『親が送迎などで忙しくなりがち』『入退会を繰り返すと“諦め癖”がつく』などです。ただしこれは、ほどほどの数の習い事を継続的に行っている分には、問題にならない点なので、全体的にはプラスの側面の方が多いでしょう」
Q.子どもの習い事の決め方には、大きく「子ども本人の希望」と「親の希望」の2パターンがあるかと思いますが、ずばり、どちらの決め方がよいと思われますか。
佐藤さん「一見、『子ども本人の希望』を尊重するのが望ましいように思えるのですが、それだと偏りが出てくることがよくあります。
子どもは、世の中にどんな習い事が存在するかを大人ほどは知らないので、『友達がやっている』『たまたま通りかかった』『近所で体験コーナーがあった』などがきっかけになっていることがほとんどです。“広く検討した上での希望”ではない、ということですね。そのため、『ちょっとやったけど合わなかった』とか『思っていたのと違った』といった理由で、『もう行きたくない』ということが起こりやすいようです。
一方、大人は、子どもが習い事をするとなると、おそらくはネットで情報を集めますよね。『通える範囲にどんな習い事があるのか』『同じ英会話を習うのならどこがいいのか』『少人数制の◯◯教室の方が、うちの子に合っているのではないか』など、子どもよりはもっと幅広い選択肢や詳しい情報を得られるわけです。
よって、親が習い事の情報を提示する役割をしつつ、そこから子ども本人の希望を聞くというのがより賢明な方法と思われます」
Q.わが子の習い事を決める際にやってはいけないことや、上手な選び方のポイントはありますか。
佐藤さん「まずやってはいけないのは、親の一存で決めてしまうことです。どんなに『子どものためを思って』だとしても、子どもにそもそもモチベーションがないのなら、『もともと行きたいなんて言っていない』と主張されたときに何も言えなくなってしまいます。先述した『親が選択肢を提示する』のと、『親の一存で決めてしまう』のは全く別物です。あくまで、やるのは本人なので、子どもの意向を無視してしまうのは避けるべきです。
また、これは逆パターンともいえるかと思いますが、子どもの意向を丸ごと受け入れてしまうのも考えものです。『これやりたい!』と言ったら即入会、でも1カ月たって、『面白くないからやめる』と言うとすぐに退会、そしてまた別の習い事を『やりたい』と言うので、新たに入会手続きをする…。このようなケースです。
こういった場合、習い事のスキルが身に付かないばかりか、『嫌ならやめればいい』という学習までしてしまうことになりかねません。『何をやっても長続きしない』というお悩みを持つご家庭は多いのですが、幼少期の習い事で“踏ん張らない癖”をつけてしまうこともあるので、何でも受け入れてあげればいいというものではありません。
以上の点から、習い事を選ぶ際には、親が『どんな習い事があり、そこで何を経験できるのか』などの情報を示しながら、子どもの意向に沿って決めていくというのが堅実なプロセスだと思われます。そして、その際には、『そこで何を身に付けたいか』といった具体的な目標を子どもから引き出せると、自分の発言に責任を持たせやすくなると思います」
(オトナンサー編集部)
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