サラダ油代わりにオリーブオイルを使うメリットは? どんな料理に向く? 管理栄養士に聞く
料理のときにオリーブオイルを使うと、どのようなメリットがあるのでしょうか。管理栄養士に聞きました。

料理のときによく使われる食用油の一つが「サラダ油」ですが、中にはサラダ油の代わりにオリーブオイルを使う人もいるようです。オリーブオイルを使うと、どのようなメリットがあるのでしょうか。また、どのような料理に向くのでしょうか。三鷹駅前たなか糖尿病・内科クリニック(東京都三鷹市)の管理栄養士、田中恭子さんに聞きました。
ビタミンやポリフェノールを多く含む
Q.料理のときに、サラダ油の代わりにオリーブオイルを使う人もいるようです。そもそも、サラダ油とオリーブオイルは、何が違うのでしょうか。オリーブオイルに含まれる栄養素も含めて、教えてください。
田中さん「脂肪の構成要素である『脂肪酸』の観点で言うと、サラダ油もオリーブオイルも『不飽和脂肪酸』(植物の油や魚の脂に多く含まれる脂肪酸)で、サラダ油はオメガ6(n-6系)の『リノール酸』、オリーブオイルはオメガ9(n-9系)の『オレイン酸』にそれぞれ分類されます。
リノール酸は、LDL(悪玉)コレステロールを下げる作用がありますが、過剰に摂取するとHDL(善玉)コレステロールも下げ、動脈硬化を進行させやすく、またアレルギー疾患を引き起こしやすいので、注意が必要です。特に外食や市販の加工食品に多く含まれている場合があるため、『気付かぬうちに過剰摂取していた』ということにもなりかねません。
オレイン酸は、脂肪酸の中でも熱に強く、酸化しにくいという特徴があります。また、ビタミンAやビタミンE、ポリフェノールが豊富に含まれていることから、美容液などで使われているケースも多く、腸への働きかけにより便秘解消の効果も見られます」
Q.では、サラダ油の代わりに、オリーブオイルを使って料理をしてもよいのでしょうか。また、サラダ油とオリーブオイルとでは、どちらの方がカロリーが高いのでしょうか。ダイエット中の人が摂取しても問題ないのでしょうか。
田中さん「料理のときに、サラダ油の代わりにオリーブオイルを使っても問題ありませんし、油の種類によってカロリーに違いがあるわけではありません。サラダ油もオリーブオイルも1グラム当たり9キロカロリーです。ダイエット中に限らず、普段から『良質な油を適量取る』ことがとても大切です。調理用油やドレッシングなどから摂取する油の1日の目安量は、大さじ1杯程度です。
加熱調理に使う油としては、サラダ油やオリーブオイルなどが挙げられますが、先述のように、リノール酸の過剰摂取にならないよう、オリーブオイルに置き換えていくことは、『良質な油を適量取る』ことにつながっていくと考えられます」
Q.では、オリーブオイルを過剰に摂取してしまった場合、どのようなリスクがありますか。
田中さん「オリーブオイルを過剰に摂取した場合、体重増加と胃腸障害の原因となります。先述のように、油は1グラム当たり9キロカロリーなので、大さじ1杯で約110キロカロリーとなります。これは、バナナ1本やみたらし団子1本とほぼ同じカロリーです。そのため、多く使えば使うほどカロリーオーバーとなり、体重増加につながります。
また、油の消化に時間がかかるため、消化不良や下痢の原因にもなります。オリーブオイルといえども、過剰摂取には気を付けましょう」
Q.オリーブオイルやサラダ油は、どのような料理に使うとよいのでしょうか。
田中さん「オリーブオイルは、イタリアンやフレンチなどの西洋料理と相性が良いです。特にサラダやカルパッチョ、カプレーゼなど、生野菜や生魚系の料理に使うと酸化されず、オリーブオイル本来の香りを楽しむことができ、栄養価もそのまま摂取できるので、お勧めです。
しかし、和食のようなだしの風味を生かした料理や優しい味付けの料理の場合は、オリーブオイルの香りが勝ってしまうので、気になる場合は他の油を使用した方がよいかもしれません。同じオレイン酸で加熱に強く香りが少ないものとして、米油などもお勧めです。
サラダ油はほとんど無味無臭なため、どんな調理にもお使いいただけるかと思います。ただ、先述のように、外食や市販の加工食品に多く使用されているため、わざわざ家庭で積極的に使う必要はあまりないと思います。
油の摂取で大切なのは『良質な油を適量取る』ことです。近年、スーパーなどではオリーブオイルにとどまらず、良質な油が数多く売られています。しかし、どんなに良質であっても過剰に摂取することは体重増加につながり、同時に健康被害のリスクも上がります。適量を守って上手に取り入れてこそ、おいしく健康的な食生活へとつながっていくのです」
(オトナンサー編集部)
コメント