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小説の“終わりの一行”を並べた角川文庫の広告が「心引かれる」と話題に、どうして作った?

「角川文庫」の創刊70周年を記念して作られた、同文庫の100作品の“終わりの一行”を掲載した広告が話題に。SNS上では「本好きにはうれしくなる」「こういうの好きだな」などの声が上がっています。同社に聞きました。

「終わりの一行」(KADOKAWA提供)
「終わりの一行」(KADOKAWA提供)

 KADOKAWAが手掛けたユニークなキャンペーン広告が話題となっています。「角川文庫」の創刊70周年を記念したクイズ企画を告知するもので、同文庫の中から国内外の小説100冊を厳選、作品の“終わりの一行”を掲載しています。これについてSNS上では「本好きにはうれしくなる」「こういうの好きだな」「心引かれる」と評価する声が上がる一方、「最後の一行載せるのは微妙」「この一行のために数万字書いてきた作家がかわいそう」といった意見も見られます。同社の担当者に聞きました。

100周年を目指すという意味で100冊に

「主題となりうるものであるが、しかし本篇のこの物語はこれでひとまず終わった。」
「ならびて立てる心はいかに。」
「ナオミは今年二十三で私は三十六になります。」
「たたかえ! と」
「破裂するような勢いで海水が流れこんできた。」
「勇者は、ひどく赤面した。」
「回送電車は、まだ通過している。」

 これらの文章はいずれも、「さぁ、つぎの新しい始まりへ。」というタイトルの広告に掲載されている、角川文庫の小説の「終わりの一行」です。4月23日に開設された「角川文庫創刊70周年 特設サイト」で見ることができます。

 担当者によると、小説は同文庫70年の歴史の中で送り出してきた作品の中から、国内外と時代を幅広く網羅できるよう選定しました。第1作目のドストエフスキー「罪と罰」をはじめ、同文庫と縁が深い作家の作品のほか、KADOKAWA主催の新人賞(「横溝正史ミステリ大賞」「日本ホラー小説大賞」)などでデビューした作家のものを選びました。

「70周年という一つの区切りを迎え、今後、100周年を目指すという意味も込めて100冊としました」(担当者)

 それでは、なぜ広告に「終わりの一行」を掲載したのでしょうか。

「作家は物語の最後の一行を書き終えると、また新しい作品に取り掛かりますが、それは『新しい始まり』と言えます。それを私たちが読者の皆さまへと届けるのですが、角川文庫創刊70周年は一つの区切り(終わり)であり、ここから気持ちを新たに、新しい歴史を作っていこうという思いを込めました」

(報道チーム)

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