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子どもがマーカーで洋服を汚して…家庭で油性の“インク汚れ”は落とせる?

落とせない素材もあるので要注意

Q.同じ用具と方法で、他にも落とせる汚れはありますか。

田村さん「ファンデーションや日焼け止め、口紅などの化粧品は落とすことが可能です。筆ペンや水性マーカーには多少の効果はありますが、落とし切るのは難しいと思います。特に水性マーカーは『水性』という言葉で誤解されやすいのですが、乾いて水分が蒸発すると樹脂化してしまい、水に溶けなくなる上、溶剤を弾いてしまいます。家の外壁用ペンキにも水性のものがありますが、それと同じように乾くと非常に丈夫になるのです。実は、油性の汚れの方がプロにとっては“かわいい”のです」

Q.油性インクの汚れを落とせないケースはありますか。

田村さん「インクは定着が強力です。衣類の生地や染色が弱いものは、それを落とす処理に耐えられない場合もあるので注意しましょう。落とせない素材とその理由は以下の通りです」

【染色が弱いもの】
特に春~夏に着るピンクや水色、黄色などの明るい色は染色が弱いものが多く、インクを落とす処理を行うと染料も一緒に落ちてしまいます。

【アセテート】
主にワンピースやスカート、ドレスなどの表地、スカートやジャケットの裏地に使用される素材です。ドレープ性(カーテンのように波を打つ感じ)が必要な衣類にも使われます。この生地は繊維を作る時に溶剤を使うので、付着したインクやマニキュアなどを落とす際に溶剤を使うと、元に戻る力が働いて、繊維自体が溶けてしまいます。特にマニキュアなどは、付着した時点で繊維を溶かしているため、穴が開く場合もあります。

【分厚い生地(例:デニム)】
デニムなど生地が厚いものはインクが深く染み込むため、表面を溶剤に浸してたたいても生地の深層にインクが残ってしまいます。

【顔料(ペンキ)を使用しているもの】
顔料を使用している衣類も要注意。顔料はペンキであるため、同類のインクを落とそうとすることで、顔料も落ちてしまいます。

【樹脂素材、コーティング素材のもの(例:スポーツウェア、雨具など)】
スポーツウェア(主にアウターウェア)やカッパ、防寒着など、樹脂素材やコーティング素材の衣類には、ポリウレタン系の樹脂などが使用されています。これも溶剤を使うと、インクと一緒に溶けたりはげたりするため、落とすことができません。

【革製品】
革製品もインクが染み込みやすい素材です。インクを落とそうとすると染色が取れ、革の油分も奪ってしまうため処理してはいけません。

Q.自宅外の場所で汚してしまった場合など、衣類に油性インクがついてしまった際の応急処置を教えてください。

田村さん「インク汚れの応急処置はNGです。水をつけると汚れがさらに染まる恐れがあり、溶剤を不用意にかければ輪ジミとして広がります。また、こすってしまうと生地を毛羽立たせてしまう可能性もあります。汚れが付着した場所をたっぷりの溶剤で溶かし、にじまないうちに少しでもたたき出して除去する必要があるため、応急処置はせず、帰宅後に心して除去にかかってください」

(ライフスタイルチーム)

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田村嘉浩(たむら・よしひろ)

三共クリーニング社長

東京・旗の台で1927年から続く三共クリーニングの3代目社長として、テレビや雑誌など各種メディアで活躍する。クリーニング技術を研究する、NPO法人「日本繊維商品めんてなんす研究会」事務局長も務める。お客さまのファッションケアに関する難問を解決するため、洗濯・クリーニングに関する相談などを受け付け、広くクリーニング技術の啓蒙に力を注いでいる。三共クリーニング(http://www.sankyo-c.com/)。

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