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子どもがマーカーで洋服を汚して…家庭で油性の“インク汚れ”は落とせる?

服に付いた油性インクは家庭で落とすことができるのか。洗濯のプロによると「やるなら心して丁寧に、中途半端な応急処置は逆効果」。使うものは、アルコールジェルや除光液などです。

いたずらをしかる前にシミ抜きを
いたずらをしかる前にシミ抜きを

 衣類に付着したインク汚れの落とし方について先日、SNS上などで話題になりました。小さな子どもがいる家庭では、子どもが油性のマーカーやボールペンのキャップを外して遊ぶうちに、自分や母親の服をインクで汚してしまうケースが少なくないようです。こうした汚れは通常の洗濯で落とすのが難しい場合が多く、「気に入っていたシャツがダメになりました」「汚れをきれいに落とせる方法がわからない」「もう全身黒ずくめファッションで身を守るしかないのか」など、さまざまな声が寄せられています。

 衣類に付着した、油性のインク汚れを家庭できれいに落とす方法はあるのでしょうか。オトナンサー編集部では、東京・旗の台にある三共クリーニングの田村嘉浩社長に聞きました。

アルコールジェルで溶かし、歯ブラシでたたく

Q.衣類に付着した油性タイプのインク汚れは、自宅で落とすことはできますか。

田村さん「落とせます。しかし、失敗される方も多く、気軽にお勧めできる方法ではありません。インクを溶かすまではよいのですが、インクをタオルなどに十分に移し取れず、そのまま広がって『輪ジミ』にしてしまうケースがあるからです。なお書いた線のようなインクは家庭でも落ちますが、ポケットの中に楕円形にインクが染み出しているような『インク溜まり』と呼ばれるものは、インクが多過ぎて取り切れないと思います。プロでも落とすのに苦労するので、家庭では処理しない方がよいでしょう」

Q.家庭でインク汚れを落とす際に必要な道具やメカニズムについて教えてください。

田村さん「まず、必要な道具はタオル、歯ブラシ、洗面器、ぬるま湯、洗濯用洗剤(中性・アルカリ性など衣類に合ったもの)、そしてアルコールジェルや消毒用エタノール、もしくは除光液といった、家庭でインクを溶かす際に使われる薬品です。インクは、ペンの中では液体ですが、布などに書いた時、インクの溶剤が揮発して乾燥し、定着します。そのため、溶剤を加えて液体に戻し、溶け出させたところをタオルなどに吸わせて除去します。この時、油性溶剤ではなくアルコール系溶剤を使用すると、水とも比較的なじみやすいため、水を使ってすすぐことができるのです」

田村さん「衣類に付いた線のようなインクを取る時は、次の手順で行いましょう」

【ステップ1】
タオルを下に敷き、インクのついている衣類を上に乗せます。

【ステップ2】
インク染みの部分にアルコールジェルや消毒用エタノールを塗布し、使わなくなった歯ブラシで上からトントンたたきます。こすらずにたたき出すようなイメージで行います。

【ステップ3】
3分程度置いて、インクが溶け出すか確認してください。裏のタオルにインクが移っていれば、うまくいく兆しです。にじんで薄くなるか確認しましょう。まったく変化がなければこの方法では難しいため、クリーニング店に相談してください。

【ステップ4】
タオルに溶け出して衣類のインクが薄くなったら、もう一度アルコールジェルや消毒用エタノールを塗布します。十分薄くなるまでそれを繰り返してください。タオルはその都度取り替えるか、1枚のタオルのきれいな部分を使ってシミを移していくのがよいと思います。移したインクをタオルから除去するのは難しく、インクまみれになると使用後に捨てることになる場合もあるため、不要なタオルを使用するのがよいでしょう。

【ステップ5】
インク染みが薄くなったら、洗面器にぬるま湯(30~40度以下)を入れ、洗濯用洗剤を加えて攪拌(かくはん)してから、インクのシミ抜きを行った箇所を優しく手で揉んですすぎます。

【ステップ6】
完全に取れていないようなら、ステップ2から繰り返してください。落ちているようなら、洗濯機で普通に洗濯しましょう。

Q.この方法を実際に行う場合のコツや注意点は何でしょうか。

田村さん「エタノールは揮発性が高いため、インクを溶かし切る前に空気中に飛んでしまいます。そういった意味では、インクを溶かし切るまで揮発しないアルコールジェルの方が長時間溶かす効果が期待できます。また、歯ブラシでたたくことにより、インクを砕いて溶剤を入りやすく、溶かしやすくしています。この時、こすっても生地を傷めるだけなので、タオルにインクがたたき出されるイメージで、生地に対して垂直にたたき、タオルにインクが多く溶け出しているか確認しましょう。注意点は、インクが十分にアルコールで溶けて、薄くなったことを確認してからすすぐことです。中途半端に水や湯に入れてすすぐと、かえってインクが浸透し、染め付けてしまいます。すすぐ時に洗剤を入れることで、溶け出したインクが再度衣類に付着するのを防いでくれます」

Q.この方法は、しばらく時間がたったインク汚れにも有効でしょうか。

田村さん「付けたばかりのインクは落ちやすく、時間と共に落ちにくくなります。2~3日程度なら有効だと思いますが、それ以上は大丈夫であるとは言い切れません」

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田村嘉浩(たむら・よしひろ)

三共クリーニング社長

東京・旗の台で1927年から続く三共クリーニングの3代目社長として、テレビや雑誌など各種メディアで活躍する。クリーニング技術を研究する、NPO法人「日本繊維商品めんてなんす研究会」事務局長も務める。お客さまのファッションケアに関する難問を解決するため、洗濯・クリーニングに関する相談などを受け付け、広くクリーニング技術の啓蒙に力を注いでいる。三共クリーニング(http://www.sankyo-c.com/)。