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明らかに多く食べて飲んだ人でも「割り勘」 法的問題はない? 

居酒屋などで会食後に会計をするとき、割り勘をするのが一般的ですが、明らかに多く飲んだり食べたりした人が、割り勘で支払うことに法的問題はないのでしょうか。

人より多く飲み食いした人も「割り勘」?
人より多く飲み食いした人も「割り勘」?

 居酒屋などで複数人と会食をすると、他の人よりもかなり多くのお酒を飲んだり、料理を食べたりする人がいることがあります。本来であれば、各自が飲食した金額を払えば問題はありません。しかし、日本では会計で「割り勘」をすることが多く、多めに飲んだり食べたりしたのが多かった人の中には、「少し多めに払うよ」などと言わず、割り勘で得をしようと考える人もいるようです。明らかに多く飲んだり食べたりした人が、割り勘で支払うことに法的問題はないのでしょうか。佐藤みのり法律事務所の佐藤みのり弁護士に聞きました。

不公平でも同意すれば法的問題なし

Q.割り勘は、金銭的なトラブルになりやすいと聞きます。どのような法的問題が発生しやすいですか。

佐藤さん「一般に、割り勘にする飲食の代金は、それほど高額ではないこともあり、法律を持ち出して裁判所で争わなければならない事態は少ないです。ただし、そこまで至らなくても、当事者の中でモヤモヤした気持ちが残ったり、それが原因で後の人間関係にも悪影響を及ぼしたりすることは多くあるようです。

例えば、アルコールを飲まない人と飲む人が一緒に飲み会に参加したとき、たくさん飲酒した人から割り勘を提案され、仕方なく応じなければならなかったり、その上、感謝やちょっとした気遣いもなかったりすると、不公平感が大きく納得できない気持ちになりやすいでしょう。そうなると、同じメンバーで再び集まることもなくなってしまうかもしれません。

全く飲まない人がいたり、飲食量に差があったりする場合は、話し合って支払金額を調整するなど、割り勘のマナーを守りながら楽しく飲食することが大切です」

Q.明らかに多く飲んだり食べたりした人がいるのに、割り勘で、全員同じ金額を支払うことに法的問題はないのでしょうか。

佐藤さん「割り勘は、一緒に飲食したメンバー内での支払い分担の話なので、当事者が同意していれば法的問題は生じません。任意でおごることが可能なように、飲食量が他の人より少なかったメンバーが、自分が飲食した分よりも多く支払ったとしても、その人の同意があれば、割り勘にすることは問題なくできます。

ただし、その場の雰囲気で仕方なく割り勘に応じざるを得ない人もいると思いますし、先述したように、割り勘のマナーを守り、相手への気遣いを忘れないことが大切だと思います」

Q.飲んだり食べたりするのが少なかった人が、多かった人に割り増しでの支払いを求めることは、法的に可能なのでしょうか。

佐藤さん「飲食量の少なかった人から多かった人に、完全な割り勘ではなく支払金額を調整しようと相談することは、もちろんできます。誰がどれだけ飲食の代金を負担するかは、一緒に飲食したメンバー内で自由に決めることができるからです。

仮に、多く飲食した相手が、かたくなに完全な割り勘にこだわり、飲食量の少なかった人も譲らず、どうしても支払金額の調整をしたい場合は、後日、法的に話し合って解決するしかなくなるでしょう。

ただし、大勢で居酒屋に行き飲食したケースのように、誰がどれだけ飲食したのかが不明確な場合は、飲食量に関する証拠もなく、完全な割り勘に落ち着くことが多いのではないかと思います。

なお、誰がどれだけ飲食したのかはっきりしない状況で飲食し、代金が支払われない場合、飲食店側は複数の客全員に対して全額の支払いを求めることができます(連帯債務)。飲食店側は、誰がどれだけ支払うことになっているのか、客内部の取り決めについては知らないのが通常だからです。

そのため、支払い割合をめぐり、トラブルになった場合も、早めにきちんと会計を済ませましょう」

Q.飲んだり食べたりするのが少なかった人は、自分が損をするという理由で、割り勘での支払いを拒否することは、法的に可能なのでしょうか。

佐藤さん「割り勘での支払いを拒否することは可能です。その場合、話し合いにより、公平な支払い分担を決めることになるでしょう。

先述したように、飲食量が少なかった人についても、飲食店との関係では全額の支払い義務を負うので、飲食店側に迷惑がかからないようにきちんと会計を済ませてから話し合いましょう」

Q.明らかに多く飲んだり食べたりした人との会食後の会計で、トラブルにならないためにできることは何ですか。

佐藤さん「お金の話なので、口に出しにくいと思う人も少なくありませんが、モヤモヤした気持ちを抱えないためにも、気になる場合には、支払い割合について話し合ってみるのもよいでしょう。

その場の会計だけを見ると、割り勘によって損をしているようでも、日頃お世話になっており、実は相手が不公平感に気付いていないということもあるかもしれません。良い人間関係を維持するためには、コミュニケーションが大切だと思います」

(オトナンサー編集部)

佐藤みのり(さとう・みのり)

弁護士

神奈川県出身。中学時代、友人の非行がきっかけで、少年事件に携わりたいとの思いから弁護士を志す。2012年3月、慶応義塾大学大学院法務研究科修了後、同年9月に司法試験に合格。2015年5月、佐藤みのり法律事務所開設。少年非行、いじめ、児童虐待に関する活動に参加し、いじめに関する第三者委員やいじめ防止授業の講師、日本弁護士連合会(日弁連)主催の小中高校生向け社会科見学講師を務めるなど、現代の子どもと触れ合いながら、子どもの問題に積極的に取り組む。弁護士活動の傍ら、ニュース番組の取材協力、執筆活動など幅広く活動。女子中高生の性の問題、学校現場で起こるさまざまな問題などにコメントしている。

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