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宮脇咲良、日韓で成功したアイドルの“プロ”はどんな化学反応をもたらす?

どんなアイドルであり続けるか

 デビューから1年後には、結成のきっかけとなったオーディションの投票操作疑惑が報じられ、3カ月間の活動休止に追い込まれました。また、活動再開とほぼ同時にコロナ禍が広がり、日韓の移動やステージのパフォーマンスが制限されることに。どちらも不運というほかありません。

 そのためか、最近の発言には、まだやりきっていないもどかしさのようなものも感じられます。今年3月、前出のラジオ番組でリスナーから、「思い描く5年後とは?」と聞かれたときのこと。彼女は「まったく想像できない」としつつ、「もう、私って何年まだ、アイドルできるかなって思うんですけど、でも、私はアイドルがしたいんですよ」と答えました。

 5年後といっても、まだ28歳。アイドルであり続けることは十分に可能でしょう。ただ、どんなアイドルであり続けるかはこちらとしても想像がつきません。IZ*ONEでの2年半、韓国型のアイドルに誰より見事になりきった分、日本での活動がイメージしにくいのです。

 たとえば、9月27日の「ラヴィット!」(TBS系)に矢吹さんが出演していました。日本型のバラエティーにも溶け込んでいる印象でしたが、同じ元IZ*ONEでも宮脇さんとは立場や雰囲気が違います。

 矢吹さんや本田さんはAKB系グループに復帰して活動中。一方、復帰直後に卒業となった宮脇さんにはちょっと孤高な存在感もあり、日本のアイドルシーンに戻る以外の道も予感させます。

 実際、8月には韓国の事務所との契約のため、渡韓したことが報じられました。しばらくは韓国での活動が中心になるのかもしれません。

 ただ、できれば、日本での活動も積極的に行って、日本のアイドルシーンにも影響をもたらしてほしいものです。

 秋元さんがIZ*ONEに期待した日韓アイドル文化の融合による化学反応。それはグループの解散で終わるものではないからです。宮脇さんは誰より、その化学反応を今後も引き続き、起こし続けていける存在なのですから。

(作家・芸能評論家 宝泉薫)

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宝泉薫(ほうせん・かおる)

作家、芸能評論家

1964年岐阜県生まれ。岩手県在住。早大除籍後「よい子の歌謡曲」「週刊明星」「宝島30」「噂の真相」「サイゾー」などに執筆する。近著に「平成の死 追悼は生きる糧」(KKベストセラーズ)、「平成『一発屋』見聞録」(言視舎)、「あのアイドルがなぜヌードに」(文春ムック)など。

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