宮脇咲良、日韓で成功したアイドルの“プロ”はどんな化学反応をもたらす?
IZ*ONE、AKB48、HKT48と、日韓のアイドルグループで活躍してきた宮脇咲良さん。アイドルの“プロ”とも称される宮脇さんのこれまでを振り返り、今後の活動について筆者が考察します。
宮脇咲良さんの今後が注目されています。日韓合同ユニット・IZ*ONE(アイズワン)のメンバーとしても活躍した宮脇さんは今年4月、グループの解散に伴い、HKT48に復帰。6月にはHKTを卒業しました。
4月には自身のラジオ番組「今夜、咲良の木の下で」(bayfm)の中で「正直、今は次の仕事までの間の期間なので、今は人生の夏休み」としながらも「やっぱり、私って仕事人間」「早くステージに立ちたい! それだけです」と語っていました。
その今後が注目されるのは、これまでの歩みが前例のないものだからでもあります。
IZ*ONEにうってつけの人材
2011年、13歳でHKT入りした宮脇さんはやがて、AKB48も兼任するようになり、2014年のシングル「希望的リフレイン」では「神7」の一人だった渡辺麻友さんとダブルセンターを務めました。選抜総選挙では2018年の第10回に3位まで上がるなど、次代のエース候補だったのです。
しかし、この総選挙の2カ月後、運命が大きく変わります。韓国のオーディション番組「PRODUCE 48」を経て、IZ*ONEのメンバーに選ばれました。
このオーディションは韓国主導ながら、日本を代表するプロデューサーの秋元康さんも協力し、AKB系グループのメンバーも参加しました。その中から、宮脇さんと矢吹奈子さん、本田仁美さんが選ばれ、韓国人メンバー9人とともに、IZ*ONEとしての活動をスタートさせたわけです。
この背景には、秋元さんの戦略転換が関係しています。2005年に立ち上げたAKB48で新たなアイドルの在り方を作り上げた後、彼は「坂道」シリーズで、さらに多様な展開を見せました。
ただ、隣の韓国では日本型とは異なるアイドルの在り方が生まれます。秋元さんはその違いについて、「K-POPがプロ野球だとしたら、AKBは高校野球」などと発言していますが、これは感動を生むシステムについての分析でしょう。デビュー時点ですでに完成された歌やダンスで勝負する前者に対し、後者はファンにとって、身近な存在が成長していく姿も見せるという意味合いです。
この似て非なるアイドルの形を融合させたら、どんな化学反応がもたらされるかという壮大な実験。秋元さんが韓国からの協力依頼に応じたのは、そんな新戦略への興味が働いたからと考えられます。
そして、宮脇さんはIZ*ONEに選ばれた3人の中でも、うってつけというべき人材でした。その適性を強く感じさせたのが前出の第10回総選挙です。
ストイックな姿勢とプロ意識
彼女はツイッターに「プロフィール公開で体重46キロになってたけど、総選挙に向けてここまでダイエット頑張ったよ(略)」という文章と、42.8キロを示した体重計の写真を投稿。元から定評のあったスタイルの良さをさらに磨こうとする、ストイックな姿勢が話題になりました。
韓国では日本以上に、容姿磨きもまた、アイドルのスキルとして評価されます。彼女はIZ*ONE専任となってからもそのストイックさをいかんなく発揮。歌やダンスはもとより、体型やメークといった容姿磨きにも力を注いで、韓国型アイドルのスキルを身につけました。
一方、日本ではファンサービスのスキルが韓国以上に重視されます。彼女はファンの顔を覚えたり、SNSをチェックしたりして、「髪伸びたね」「見たよツイッター」などと握手会で話しかけるなど、神対応で知られていました。
そのため、「宮脇プロ」とも呼ばれるようになり、自らも「常にファンの方たちに喜んでもらえることをしたいって思っているので、ファン思いなところはプロかなって」(テックインサイト)と語っています。
そういう「ファン思いなところ」は韓国のファンにも魅力だったのでしょう。IZ*ONEの2年半にわたる活動において、グループ内でも高い人気を維持しました。
ただ、グループにとって、その2年半が順風満帆だったわけではありません。
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