オトナンサー|オトナの教養エンタメバラエティー

川栄、前田ら兼業のAKBと辻、松浦ら専業のハロプロ 結婚後の違いの理由はプロデューサー

結婚・出産後も活動を続ける兼業主婦志向のAKB、活動スタイルを変える専業主婦志向のハロプロ。両者の違いは何に由来するのでしょうか。

前田敦子さん、辻希美さん
前田敦子さん、辻希美さん

 元AKB48の女優・川栄李奈さんが、本格的に活動を再開しました。6月25日放送の「BG~身辺警護人~」(テレビ朝日系)では、全盲の天才ピアニストという難役を務め、7月1日からはauのCM「三太郎シリーズ」の新作「帰ってきた織ちゃん」編が放送中です。

 前者は木村拓哉さん主演の注目度の高い連続ドラマでのゲストヒロイン、後者はそのストーリー性が幅広く共有されているCMで、なおかつ、彼女自身の結婚と出産からの復帰という事情も重ね合わせられる内容になっています。それゆえの「帰ってきた織ちゃん」なのです。

 この“待たれていた感”とでもいうものこそ、AKBの出世頭とまでいわれる彼女の実力がなせるわざでしょう。それとともに、こうした華やかな復帰にはAKB系タレントの伝統のようなものも感じます。というのも、このグループ出身者には、結婚・出産を経ても以前同様、女優などの活動を続けるイメージがあるからです。

 例えば、前田敦子さん。結婚して出産もしましたが、以前にも増してドラマや映画で活躍中です。ただ、役の上では妻や母を演じたりしているものの、プライベートでの妻っぽさ、母っぽさはそれほど伝わってきません。そういえば、復帰後の川栄さんにも、結婚や出産を経たとは思えないという声が上がっています。

卒業後も“恋愛禁止ルール”が継続?

 一方、対照的なのが、モーニング娘。などハロー!プロジェクト系のタレントです。こちらは、結婚や出産を機に活動のスタイルを大きく変える人が多いからです。

 辻希美さんや藤本美貴さんのように、ママタレとしてブログやCM中心にやっていたり、里田まいさんや紺野あさ美さんのように、アスリートである夫のサポートに徹していたり。さらに特筆すべきは、かつてハロプロの顔でもあった2人の選択です。

 安倍なつみさんは山崎育三郎さん、松浦亜弥さんは橘慶太さんとの結婚を機に活動休止状態になりました。つまり、家庭に専念するとか、家庭感を前面に出して仕事をするといった人が目立つのです。

 兼業主婦志向のAKBに対し、専業主婦志向のハロプロという言い方も可能かもしれません。

 では、この違いはどこから来るのでしょう。このテーマを考えるとき、思い当たるのが、それぞれを立ち上げたプロデューサーのことです。

 AKBにおいては、秋元康さん。メンバーに対して恋愛禁止というルールを課しています。これはすなわち、AKBにいる間はそういう覚悟が必要なことを意味します。一定期間は恋愛を諦め、仕事に集中してもいい、そう思えるタイプが集まりやすく、また、選ぶ側もそういうタイプを好むのでしょう。

 この最初のスタンスが、卒業後も受け継がれていると考えられます。多感な年頃に恋愛を我慢できるくらいなので、その分、結婚や出産を経ても芸能活動へのこだわりは強いわけです。

1 2

宝泉薫(ほうせん・かおる)

作家、芸能評論家

1964年岐阜県生まれ。岩手県在住。早大除籍後「よい子の歌謡曲」「週刊明星」「宝島30」「噂の真相」「サイゾー」などに執筆する。近著に「平成の死 追悼は生きる糧」(KKベストセラーズ)、「平成『一発屋』見聞録」(言視舎)、「あのアイドルがなぜヌードに」(文春ムック)など。

コメント