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指原莉乃さん、飼い猫の姿を見て泣きそうに… 視力矯正手術「ICL」とはどんな手術か

指原莉乃さんが、受けたことを報告した視力矯正手術「ICL」。「飼い猫の姿が見て泣きそうになった」などと成果を明かしていますが、一体どのような手術なのでしょうか。

視力矯正手術「ICL」とは…?
視力矯正手術「ICL」とは…?

 アイドルグループ・HKT48の指原莉乃さんが先日、自身のツイッターで、視力矯正手術「ICL(眼内コンタクトレンズ)」を受けたことを明かしました。指原さんは「朝起きた瞬間から目が見えて、朝甘えてくる飼い猫の姿を見たときに泣きそうになりました」「ドライアイ、ひどい充血が全くなくなった」と手術の成果を報告。これを受けてネット上では「ICLって何?」「レーシックとは違うの?」「安全ならやってみたい」などさまざまな声が上がっています。

欧州を皮切りに世界各国で認可された

 ICLは「Implantable Contact Lens」の略で、小さなレンズを眼内に移植して近視や乱視を矯正する手術方法です。南青山アイクリニック院長の戸田郁子さんによると、レンズはソフトコンタクトレンズのような無色透明の柔らかい素材で、目の中で曇ったり汚れたりせず“異物感”や“ゴロゴロ感”がありません。生体適合性が高いため、透明な状態を数十年間維持できるのも特徴です。

「1997年に欧州でICLの有効性と安全性が認められたのを皮切りに、韓国、米国、中国と世界各国で認可され、2010年には日本でも厚生労働省の認可を受けています。検査や手術はICL手術の認定ドクターが在籍している病院で受けます」(戸田さん)

 それでは、ICLの手術方法とその流れはどのようなものでしょうか。

「まず、治療の適応可否やレンズの度数を計算するための術前検査を行います。手術当日は点眼麻酔をし、角膜周辺を約3ミリ切開します。麻酔の効果で痛みは感じません。次にレンズを丸めて折りたたみ、切開した部分から眼内に挿入し、虹彩(黒目)と水晶体の間に移植します。レンズは目の中に入ると元の形に戻るため、位置を調節して固定します。最後に目を洗浄し、感染症予防のための点眼をします。術後は約1時間休んだ後、診察や眼圧測定を行って問題なければ終了です」

 戸田さんによると、手術の所要時間は両目で20~30分ほど。手術の傷口の回復に伴い、48時間程度で視力が回復します。治療費用はレンズの種類や病院などによって異なりますが、約45万円(片目)が目安で健康保険は適用されません。

「ICLの対象年齢は21歳~45歳ほど。中等度~強度近視(度数約-3D~-15D程度まで)の方や乱視度数が約-3D~4.5D程度の方、レーシックに不安を感じつつも裸眼で生活したい方、ドライアイにならない治療法を望まれる方に向いています。一方、妊娠中や授乳期間中の方やレンズを入れるスペースが狭い方には向いていません」

 視力矯正といえばレーシック手術が広く知られていますが、ICLとレーシック手術にはどのような違いがあるのでしょうか。

「レーシック手術は、角膜を削ることによりピントの位置を調整して視力を矯正する治療法ですが、ICLは角膜を削らず、眼内にレンズを挿入することによって視力を矯正します。眼内に入れたレンズを交換したり、取り外したりすることができる可逆性も特徴です。特に高度近視の方では、レーシックに比べてクリアな見え方が得られるとともに、術後数年で視力が逆戻りする『近視の戻り』が起こりにくい可能性があります。また、ICLは、角膜に小さな切れ目を入れるだけなので角膜の知覚神経を傷つけず、ドライアイを感じることも非常に少ないです」

 ICLのリスクとしては、感染症や、まれに眼圧上昇や水晶体への影響、夜間の「ハロー・グレア(光の乱反射やにじみ)」などの可能性が挙げられるそうです。

(ライフスタイルチーム)

戸田郁子(とだ・いくこ)

医療法人社団南青山アイクリニック 理事長・院長

筑波大学医学部卒。東京慈恵医科大学付属病院眼科、慶應義塾大学病院眼科、ハーバード大学眼研究所、東京歯科大学市川総合病院などを経て1997年より現職。現在、東京歯科大学眼科講師、慶應義塾大学眼科学教室講師を務める。ハーバード大学ではドライアイの基礎研究に従事。レーシックや角膜移植、ドライアイなどの視力治療を眼科専門医が行う専門クリニックとして南青山アイクリニックを開院し、この分野をけん引する。著書に「視力回復50のポイント-レーシック、コンタクトレンズから視力回復グッズまで」(保健同人社/監修)「レーザー近視手術-メガネなしでもこんなに見える」(日本評論社/共著)。南青山アイクリニック(http://www.minamiaoyama.or.jp/)、facebookページ(https://www.facebook.com/minamiaoyamaeyeclinic)。

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