オトナンサー|オトナの教養エンタメバラエティー

なぜ、週2回も特番を放送? 今、「逃走中」スタッフが大活躍の理由

4月4日夜、ゴールデンタイムの3時間特番「逃走中~まる子大捜索指令~」が放送されます。番組スタッフは「戦闘中」「超水上サバイバル オチルナ!」も手がけていますが、その理由は何でしょうか。

「逃走中~まる子大捜索指令~」に出演する、霜降り明星のせいやさん
「逃走中~まる子大捜索指令~」に出演する、霜降り明星のせいやさん

 4月4日夜、ゴールデンタイムの3時間特番「逃走中~まる子大捜索指令~」(フジテレビ系)が放送されます。同番組は「限られたエリアの中でハンターから逃げた時間に応じて賞金を獲得できる」というアトラクション型のゲーム番組。2004年から60回以上にわたって放送され、学生層がマネをして遊ぶなど若年層を中心に人気を集めています。

 注目すべきは同じ週の3月29日にゴールデンタイムの2時間特番「超速シッポとりバトル!モノノケハント」(フジテレビ系)が放送されたこと。こちらは「逃げる」のではなく、「モノノケのしっぽを狩る」というコンセプトであり、同じ「逃走中」スタッフで作られたことを売りにしたアトラクション型のゲーム番組です。

 さらに「逃走中」スタッフは3月21日にも「戦闘中」、昨年11月22日にも「超水上サバイバル オチルナ!」を手がけました。なぜ、同じスタッフの同系アトラクション型ゲーム番組が立て続けにゴールデンタイムで放送されているのでしょうか。

「他局に負けられない」第一人者の自負

 フジテレビは上記に加えてレギュラー番組として「VS魂」も放送していますが、アトラクション型のゲーム番組は同局だけでなく、他局でも放送され始めています。

 TBSの「オトラクション」は2度の特番放送を経て、4月13日から火曜午後7時台のレギュラー放送がスタート。また、同局は3月9日にゴールデンタイムの2時間特番で「THE 鬼タイジ」、1月4日に「カラダで答えろ!ボディアンサー」などを放送しました。

 日本テレビは2月10日にゴールデンタイムの2時間特番で「音が出たら負け」、昨年12月6日に「クラッシュパーク」、8月30日に「トラップハウス」などを放送。テレビ朝日も昨年11月4日に「キズナデビルの挑戦状」などを放送しました。アトラクション型のゲーム番組は民放各局全体のトレンドとなっているのです。

 長年、アトラクション型のゲーム番組を手がけ続けてきたフジテレビが他局の参入に「負けられない」「ウチはもっと仕掛けよう」と考えるのは当然の流れ。だから、その最前線にいる「逃走中」スタッフが「逃げる」「狩る」「闘う」「落ちない」など、さまざまなバリエーションを見せているのでしょう。

 また、「モノノケハント」の放送中、画面左上に「逃走中スタッフが送る新番組」という文字が表示されていたように「一つのブランドとして視聴者に訴求していこう」という狙いも見えます。

 民放各局がアトラクション型のゲーム番組に注力し始めたきっかけは、昨春の視聴率調査リニューアル。視聴データの詳細が分かるようになったことで、スポンサーが求めるファミリー層に向けた番組制作が急務になり、単純明快、かつアクション性の高いアトラクション型ゲーム番組が増えているのです。

キャスティングやロケなどのメリット

 アトラクション型ゲーム番組が増えている理由として、もう一つ触れておきたいのが出演者の顔ぶれ。

 例えば、4月4日に放送される「逃走中~まる子大捜索指令~」の出演者(50音順、敬称略)は亜生(ミキ)、井上瑞稀(HiHi Jets)、おーちゃん(HIMAWARIちゃんねる)、河合郁人(A.B.C-Z)、昴生(ミキ)、佐々木彩夏(ももいろクローバーZ)、せいや(霜降り明星)、高城れに(ももいろクローバーZ)、高橋ひかる、武尊、戸塚祥太(A.B.C-Z)、中澤佑二、浪川大輔、濱口優(よゐこ)、本田紗来、本田望結、まーちゃん(HIMAWARIちゃんねる)、盛山晋太郎(見取り図)、リリー(見取り図)が発表されています。

 そのほとんどが若手タレントであり、キャスティングしやすい上に報酬はさほどかかりません。また、「一度のロケで済む(今回は富士急ハイランド)」「スタジオ収録の手間と費用がかからない」「コロナ感染予防のガイドラインをクリアしやすい」など、スケジュール、予算、制作などでのメリットもあるのです。

 民放各局がゴールデンタイムで放送しているレギュラー番組の中にはまだ、ファミリー層向けの内容に対応していない内容のものも多いだけに、前述した番組はよほど評判が悪くない限り定期的に放送され、好評なら今秋のレギュラー化もあり得るでしょう。

(コラムニスト、テレビ解説者 木村隆志)

木村隆志(きむら・たかし)

コラムニスト、コンサルタント、テレビ解説者

雑誌やウェブに月間30本前後のコラムを寄稿するほか、「週刊フジテレビ批評」などに出演し、各局のスタッフに情報提供も行っている。取材歴2000人超のタレント専門インタビュアー、人間関係のコンサルタントとしても活動中。著書に「トップ・インタビュアーの『聴き技』84」「話しかけなくていい!会話術」など。

コメント