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二所ノ関親方の転倒事故、「サウナ」だけが悪者にされていないか

二所ノ関親方が自転車で転倒し、頭部を強打した事故が大きく報じられました。サウナの帰りだったことから「サウナの怖さ」が独り歩きしていますが、サウナの第一人者である筆者はこれに反論します。

事故原因は「サウナ」なのだろうか?

「元大関若嶋津の二所ノ関親方(60)が19日午後4時15分ごろ、部屋がある千葉・船橋市内の路上で倒れているところを通行人に発見された。自転車で転倒し、頭部を強打。船橋市内の病院に搬送され、約4時間40分の手術後に集中治療室(ICU)に入った。命に別条はないという」。こんなニュースが大きく報じられました。

 ニュースやワイドショーでは「雨の日は視界も悪く、路上も滑るので危険です。自転車に乗る際はヘルメットを着用し、細心の注意をもって走行を」と安全運転の大切さが周知されるとともに、寒い日の血圧変動による「ヒートショックリスク」が報じられるものと想像していました。しかし、実際には「サウナ帰り」の事故だったことに注目が集まり、何となく「サウナは怖い」「サウナだけが危険」という報道がなされています。

 この報に接して、トッププロサウナーとして日々サウナに親しんでいる筆者が「サウナの危険性」についてひと言、指摘しておきたいと思います。

サウナ好き男性は突然死のリスク減?

 東京都健康長寿医療センター研究所が、東日本全消防本部の81%の協力を得て実施した調査によると、2011年に浴室で死亡(心肺停止状態を含む)した人の総数は約1万7000人と推計され、その多くは高齢者であると考えられています。寒暖差による血圧の変化が引き起こすヒートショックのほか、首までお湯に浸かる入浴は、水圧によって心臓に大きな無理がかかるとされているのです(体の表面積全体に約1トンの水圧)。

 サウナについても、こうした水圧リスクこそないものの「入浴と同様のヒートショックリスクがある」と容易に想像できます。

 それでも、交通事故による死亡(年間約4400人)の3倍以上ものリスクがある入浴やサウナがなくならないのは、疲労回復や美肌、免疫力アップ、清浄、ストレス解消、睡眠・冷え性改善など、たくさんの健康効果や心地良さがリスクを上回ると考えられているから。サウナの場合は「ととのった!」という喜びの感覚がそれに該当します。

(ちなみに、サウナに定期的に通っている男性は、それほど頻繁に行かない男性に比べて長生きし、心臓発作で突然死する確率も低いという研究論文もあるのです)

 いずれにせよ、各人(特に高齢者や心疾患のある方)が入浴の危険性を認識することが大切であり、若い方や心疾患がない方にとって、入浴やサウナは深い安らぎをもたらしてくれるものです。ことさら「サウナだけが危険なもの」といったイメージを与えることは間違いだと強く言いたい。サウナがそれほど危険であれば、ほとんどの人が毎日サウナに入るフィンランド人はもう絶滅していることになります。

 最後に、二所ノ関親方の一日も早い回復を心より祈念申し上げます。

(トッププロサウナー 濡れ頭巾ちゃん)