口下手にピッタリ、読み返して喜び…アラフォー世代「ラブレター」の記憶
好きな人への告白の方法はさまざまですが、アラフォー世代は「ラブレター」で告白した人も多いようです。当時のアラフォー世代の“ラブレター事情”に迫ります。

2月14日はバレンタインデーですが、ある調査で「好きな人に告白した方法は何か」と聞いたところ、どの世代でも「直接会って言う」が最も多い結果となりました。興味深いのは2番目、3番目に主流となっている方法が世代で違うことで、1990年代後半から2000年生まれのZ世代は「電話とライン」、アラサー世代が「電話とEmail」、そして、アラフォー世代は「電話とラブレター」となっています。
アラフォー世代では鉄板ともいえるラブレターは逆に、アラサー以下の世代では採用される機会がグッと減るようです。アラフォーの人たちの実体験を聞きながら、当時の“ラブレター事情”に迫ってみたいと思います。
口下手なら告白にピッタリ
告白の経験は4回で、そのすべてがラブレターというAさん(42歳、女性)は当時のことを次のように振り返ります。
「私が中学生の頃、ポケベルやPHSが世の中に出てきましたが、当初はそれらも“結構進んでいる子のアイテム”という感じで私には縁がありませんでした。携帯電話を持つようになったのは大学に入ってからです。
そのため、私たち世代の告白の方法は『直接言う』『電話』、それと『ラブレター』の3つです。私は特に口下手なのがコンプレックスだったので、告白するとき、面と向かって気持ちをうまく言葉にする自信が持てませんでした。ラブレターは渡す瞬間こそ勇気が要りますが、文章は前もってじっくり考えられるので私には合っていたと思います。
女子友達と恋の話をするときも『ラブレターを渡す』は常にみんなの頭にありました。『告白したら?』『無理だよ、怖すぎる』『じゃあ、ラブレター書いちゃいなよ』という感じで。授業中、友達に協力して、お目当ての男子にこっそりラブレターを回したこともありました。
私がラブレターを渡したのは小学生のときに1回、中学生で1回、高校生のときに2回です。相手は同じ学校の男子が多かったのですが、高校のときの1回は通学路でたまに見かける他校の男子生徒に渡しました」(Aさん)
Aさんによれば、ラブレターにはラブレターなりの難しさがあるそうです。
「渡すのは何とかなるにしても、ラブレターを書くときは悩むことがすごく多いです。一番難しいのは『どんな文章にするか』ですが、どのペンで、何色で書こうかとか、どんな封筒と便箋にしようかとか。友達に付き合ってもらって、渋谷や原宿を一日中回って便箋探しをしたこともありました。
書き始めると自分の字がすごく下手に思えますし、書き間違いなんかもってのほかだから、便箋を何枚も無駄にします。ラブレターを書くときは勉強や部活よりもよほど真剣でした」
ラブレターは準備がじっくりできる分、こだわりを盛り込むことができます。この点はラブレターならではの、悩ましく、そして楽しい部分といっていいでしょう。
ラブレターを読み返し、喜びに浸る
ラブレターをもらう側の印象はどうでしょうか。
Bさん(38歳、男性)はこれまで、10人近くの女性に告白されてきた、なかなかのモテ男です。ラブレターをもらった経験はこれまで4回あるそうです。
「初めてもらったのは小学校のクラスメートからで、『好きです』とだけ書かれたシンプルなものでした。2回目は中学生のとき、クラスメートの女子に呼び出されて行くと、もう一人のクラスメートの女子が待っていて、その子から『読んでください』と渡されました。3回目は中学の後輩から、バレンタインのチョコと一緒に渡されて、4回目は社会人になってから、友人だった女性からもらいました」(Bさん)
気になる告白の行方はどうだったのでしょうか。
「1回目と2回目、4回目はお断りしましたが、3回目は僕も好きな相手だったので付き合うことになりました。でも、当時はいざ付き合っても何をしていいか、何を話していいのか全く分からず、手をつないだだけで別れてしまいました。
告白は直接言われるのもうれしいですが、ラブレターをもらうのもすごくうれしかったのを覚えています。文章だけではなく、字や手紙全体の雰囲気から、相手の気持ちがじんわりと伝わってくるような気がして、うれしさと温かさを感じます。
ラブレターは形に残るのがいいですね。お断りした人のラブレターも当時はたまに取り出しては読み返し、『好きでいてくれたんだな』と喜びに浸ることもありました。振っておいて何さまだという話ですが。結婚する際、さすがにまとめて捨ててしまいましたが、それまではずっと、捨てるのもなんとなく悪い気がして持っていました」
いわば“告白されることに慣れている”Bさんのようなモテ男にも、ラブレターは深く気持ちを伝える手段として有効なようです。
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