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三浦知良選手、53歳の最年長出場は手放しで喜べない? 若手の機会損失など批判も

「50代でもできる」…多くの人への刺激に

Q.53歳での出場について、称賛の声が圧倒的に多いことをどう受け止めればよいのでしょうか。

江頭さん「三浦選手は尋常ではない努力をした結果、53歳でJ1の公式戦に出場可能な体とパフォーマンスを維持していると思われます。『50代だって頑張ればできるんだ』『カズさんみたいになりたい』という刺激を発信できたことは、スポーツの大事な効果の一つです。

重要なのはパフォーマンスです。もし、三浦選手の体があまり動かなくなったとしたら、それなのに『レジェンドだから』という理由で公式戦に出場することは見ている人を失望させるので、絶対に避けなくてはなりません。9月23日の出場は若手と遜色ないパフォーマンスだったから、称賛を受けたのでしょう」

Q.53歳での出場が、三浦選手ではなく他の選手でも同じ反応だったと思われますか。

江頭さん「いいえ、違うでしょう。先ほど述べたように、10代の時から日本を代表するサッカープレーヤーで、日本のサッカー界をけん引してきたという実績と一目で分かる高いパフォーマンスがあるからです。三浦選手は『ヒーロー』ですから」

Q.53歳でトップリーグに出場することについて、日本サッカーのレベルの問題を指摘する声もあります。

江頭さん「2008年に、テニスのクルム伊達公子さんが37歳で現役復帰した際にも、同様のことが言われました。12年間のブランクがあっても、日本のトッププレーヤーと互角にゲームを行ったからです。しかし、それもほんの一時で『日本テニス界のレベル』などよりも、クルム伊達さんの復帰が日本テニス界に与えた功績の方が注目されるようになりました。

9月23日のゲームで三浦選手と対戦した川崎フロンターレのプレーヤーはどう感じたでしょう。真剣にサッカーをしている人の目からみたら、『カズさんが出場できるほど、日本サッカーは弱体化した』とは見えないと思います。批判は、注目度の高い三浦選手の出場に合わせて自分の主張を広く認知させたい人やメディアの詭弁(きべん)にすぎないと思います」

Q.今後の三浦選手に対して、何か思うことがあれば教えてください。

江頭さん「引退の時期を間違わないでほしいです。観客を失望させない体を少しでも長く維持していただきたいですが、それができなくなった時、ガクンと落ち込んでしまった時はキッパリと引退していただきたいと思います。『カズさん』は老若男女が認めるヒーローで、湯川秀樹やエジソンのように『偉人伝』になっても不思議はない人です。その締めくくりにふさわしい終わり方をしていただきたいです」

(オトナンサー編集部)

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江頭満正(えとう・みつまさ)

独立行政法人理化学研究所客員研究員、一般社団法人日本スポーツマンシップ協会理事

2000年、「クラフトマックス」代表取締役としてプロ野球携帯公式サイト事業を開始し、2002年、7球団と契約。2006年、事業を売却してスポーツ経営学研究者に。2009年から2021年3月まで尚美学園大学准教授。現在は、独立行政法人理化学研究所の客員研究員を務めるほか、東京都市大学非常勤講師、一般社団法人日本スポーツマンシップ協会理事、音楽フェス主催事業者らが設立した「野外ミュージックフェスコンソーシアム」協力者としても名を連ねている。

コメント

1件のコメント

  1. とても浅い評論記事ですね。
    ただ最年長を騒ぐマスコミも問題ですが、このような評論記事も浅いとしか言えません。
    コロナ禍で特殊な日程で行われていること、怪我人の回復状況も考慮に入っていない。
    チーム、選手への取材もされていない。
    言い方は良くないですが、「内情も知らんとガタガタ外野が騒ぐな」と思います。