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確かな遺言に有効な「公正証書遺言」とは 遺産トラブル増で利用右肩上がり

自筆なら無料、ただし争いのタネにも…

 弁護士の萩谷麻衣子さんによると、遺言の主な形式には、自分で書く「自筆証書遺言」と法律の専門家が作成してくれる「公正証書遺言」があるそうです。

 自筆証書遺言は、文字通り「自分一人で」作成する遺言。自筆のため、無料で手軽に作れるメリットはあるのですが要件が厳格なため、方式の不備で無効になる可能性があるほか、全文を手書きしなければならず、パソコンなどで書いたものは無効になってしまいます。

 さらに、これが大きな問題ですが、遺言を自筆証書遺言の形で作成すると、相続が始まった後に「果たして本当に本人が書いたものなのか」を巡って争いに発展するケースが少なくないといいます。

「確実さ」求めるなら公正証書遺言

 これに対して、公正証書遺言は証人2人が立ち会い、元裁判官など法律の専門家である「公証人」が本人に確認しながら作るため、偽造などの可能性は「格段に低く」(萩谷さん)なるそう。また、方式に不備があったり、内容が不明だったりして遺言が無効になることもないようです。

 公正証書遺言の原本は公証役場に保管されており、1989(平成元)年以降のデータに関しては、相続人などが最寄りの公証役場に立ち寄って、亡くなった人が公正証書遺言を作成していたのかどうかを確認できるメリットもあります。

 また、公正証書遺言以外の遺言を保管、もしくは発見した相続人は遺言者の死亡後、遺言を家庭裁判所に提出して「検認」を請求しなければなりませんが、公正証書遺言の場合はこうした手続きも不要です。

 萩谷さんは「確実に遺言を残すという意味からは、自筆証書遺言よりも公正証書遺言の方が優れていると言えます」と解説します。

 一方で、公正証書遺言のデメリットとしては、公証人の面前で作成するため手続きが面倒で、遺産額などに応じて数万円の公証人費用がかかることなどが挙げられるそう。公正証書遺言の無効を確認する訴訟が起こされ、「遺言者の判断能力がなかった」などの理由から遺言が無効とされたケースもあるそうです。

(オトナンサー編集部)

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萩谷麻衣子(はぎや・まいこ)

弁護士

慶応義塾大学法学部法律学科卒業。元東京弁護士会法律相談センター委員会副委員長。元東京弁護士会人権擁護委員会副委員長。日本女性法律家協会副会長。萩谷麻衣子法律事務所代表。結婚・離婚・遺産相続・労働問題など一般民事や企業法務、刑事裁判を数多く担当している。また2人の子どもの子育てをしながらテレビ出演や裁判もこなす、働くママの代表格でもある。テレビ朝日「ワイドスクランブル」、TBS「Nスタ」、関西テレビ「ワンダー」にレギューラー出演中。

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