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日本酒ラベルはさまざまな「感情」を持っている

商品ロゴは、フォントメーカーから買う場合も

 筆文字をお酒のラベルや商品ロゴに使用する際には、書家やデザイナーにお願いするケースもあれば、フォントメーカーで制作されたフォントをそのまま使用することも多いのです。

 筆文字で有名なフォントメーカー「白舟書体」の原字展示の写真を紹介します。書家が書いた原字をアウトライン化(文字データを線画に変換すること)して、パソコン用フォントとして提供しているのです。身近な例では、年賀状ソフトをインストールすると使える筆文字などがあります。

「白舟書体」の原字

 筆文字のような漢字書体は中国で生まれた書体で、代表的なものに「楷書(かいしょ)」「行書(ぎょうしょ)」「草書(そうしょ)」「篆書(てんしょ)」「隷書(れいしょ)」があります。

 学校で習う「書道」は楷書が一般的で、基本的に一画一画を続けずに書くため、とても読みやすい漢字書体です。その一方で、行書や草書は筆が走っている書体で、草書は行書よりもさらに崩した書体になります。行書は読みやすいですが、草書は読めない文字もありますが、芸術性というか美しさがあります。

 篆書、隷書をご存じでしょうか。聞き慣れないかもしれませんが、皆さんが必ず見たことのある書体です。漢字の歴史は、今から約3500年前の甲骨文字にさかのぼります。その後、金文を経て、篆書(小篆・大篆)が誕生しました。篆書は印鑑などで使われており、読みづらい文字ですが、何とも味わいのある文字です。そして、隷書は古代中国・秦時代に作られた書体で、篆書を簡素化し実用的な漢字になりました。少し横長な特徴がある書体で漢時代に流行しています。

 今回、日本酒ラベルを観察したところ、さまざまな筆文字があることが分かりました。皆さん、今度日本酒を飲む時には、どのような書体が使われているのか、ラベルを観察してみましょう。お酒を2倍楽しく飲むことができますよ。

(書体ウォッチャー 関口浩之)

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関口浩之(せきぐち・ひろゆき)

書体ウォッチャー

群馬県出身。1995年にソフトバンク技研(現ソフトバンク・テクノロジー)入社。数多くの新規事業立ち上げに携わる。現在は、同社のWebフォントエバンジェリストとして、講演で日本全国を飛び回る。幼少期からガリ版印刷やレタリングが好きで、活版印刷にも興味を持つ。好きなテレビ番組は「タモリ倶楽部」。

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