巣ごもりは料理の好機 自炊デビューで知っておきたい心得、ありがちな失敗は?
新型コロナウイルスの影響による外出自粛で「自炊」を始めた人も多いようです。料理初心者が知っておきたい自炊の心得について、料理研究家に聞きました。
新型コロナウイルスの影響による外出自粛で、多くの人が“巣ごもり”の日々を過ごす中、自宅で料理をする機会が増えた人も多いと思います。ネット上では、「外食ばかりの生活だったので、この機会に自炊デビューしようと思う」「まともに料理するのは10年以上ぶり」などと、この機会に「自炊」を習慣づけようとする人も多いようです。一方で、「レシピの分量や手順を守らない」など、料理初心者の“あるある”も投稿されています。
料理初心者が知っておきたい「自炊」の心得について、料理研究家で管理栄養士の関口絢子さんに聞きました。
まずはレシピに忠実に
Q.料理初心者が自炊でやりがちな失敗とは。
関口さん「料理の失敗の原因は大きく分けると、『食材の特徴』『火の入り具合が食材ごとに違う』『調味料の使い方』の3つについての理解不足があります」
【原因1:食材の特徴が分からない】
例えばジャガイモの場合、可食部と廃棄部分が分からず、本来取らなければいけない芽の部分を食べて食あたりを起こしたり、どの状態が適正なゆで加減なのか分からず、仕上がりが硬い食感になったり、逆に煮過ぎて水っぽくどろっとしてしまったりするといった失敗が考えられます。
【原因2:火の入り具合が食材ごとに違うことを理解できていない】
食材によって火の入り方は異なるため、火加減と加熱時間が重要になります。これを理解できていないと、「熱湯からゆで始め、中まで火が通る前に周りが煮崩れた」「ゆでる水が少なかったため、加熱ムラができた」などの失敗が起こります。
【原因3:調味料の使い方が分からない】
調味料の役割や適正量が分からず、思ったような味にならなかったというケースです。入れ過ぎた場合はリカバリーができないので、バランスを考えなければなりません。ある程度の経験値が必要です。
Q.「料理初心者はまず、レシピに忠実に作るのがよい」という声がありますが、これは事実でしょうか。
関口さん「事実です。レシピはその料理を作るために最も段取りよく、失敗なく作るための指示なので、面倒に思うかもしれませんが、まずはレシピに忠実に作ってみましょう。ネットでも本でも構いません。好きな料理家や料理本、クッキングサイトなどを見つけたら、1~2冊分程度はレシピ通りに作ってみてください。調味料の合わせ方や分量によってこのような味が作れる、と学べます」
Q.ネット上では、次のような料理初心者の“あるある”が話題になっているようですが、これらについてどう思われますか。
【レシピの分量や手順を守らない(いきなり別の調味料などで代用しようとする)】
分量が変わると、調理時間も味も変わってきます。手順も段取りをよくするためで、加熱中に別の下処理などをしていると、全体の火の入り方のバランスが崩れ、仕上がりや味にも大きく影響します。別の調味料で代用することも含め、“自己流”はかなりの経験値がないと難しいです。
【途中で味見をしない】
材料は“目安”です。「キャベツを半分」といっても、元の大きさには誤差があります。また、鍋の大きさによっても水分蒸発量が変わります。どんなにレシピ通りでも、最後は作り手による微調整が不可欠です。仕上げ時は必ず味を見て、調整することが大切です。
【何でも強火にしがち】
火加減はとても難しく、食材の様子を見ながら“対話”していく必要があります。強火で短時間で仕上げた方がいい料理もありますが、ほとんどの料理は「中火」が基本です。それを知っているだけでも、だいぶ失敗が減らせるでしょう。
【野菜の下処理ができない、分からない】
実は、野菜の下処理が最も手間がかかります。洗う、皮をむく、切る…と工程がいくつもある上、可食部とそうでない部分が食材ごとに違うため、一つ一つ覚えるしかありません。さらに、「下ゆで」「水にさらす」「塩を振る」の他、あく抜きや色をきれいに仕上げる方法など、さまざまな知識が必要となります。その点、カット野菜や冷凍野菜は下処理が省けるので活用するのもよいでしょう。
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