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Mr.パーカーJr.、塩の魔人、変なおじさん…今“バズる”ネタ、3つの共通点

「Mr.パーカーJr.」「塩の魔人と醤油の魔人」「変なおじさん」。今、ネット上でバズっている3つのネタの共通点を探ります。

チョコレートプラネット(2019年5月、時事)
チョコレートプラネット(2019年5月、時事)

 外出自粛の要請で在宅率が上がっている今、ネット上を騒がせている3つのお笑いネタがあります。

 そのネタは、チョコレートプラネットの「Mr.パーカーJr.」、ハライチ・岩井勇気さん、渡辺直美さんの「塩の魔人と醤油の魔人」、志村けんさんの「変なおじさん」の3つ。「Mr.パーカーJr.」は、今春からレギュラー放送化された「有吉の壁」(日本テレビ系)、「塩の魔人と醤油の魔人」は大型ネタ特番「ザ・ドリームマッチ」(TBS系)、「変なおじさん」は志村けんさんの所属事務所イザワオフィスが「志村けんのだいじょうぶだぁ」(フジテレビ系)をYouTubeで公開したことで人々の目に触れ、ネット上にまねをする人が増えています。

 この時期になぜ、これらのネタがネット上を騒がせているのか。3つのネタにある3つの共通点を挙げていきます。

「すごい」「頭がいい」と思わせない

 1つ目の共通点は、視聴者に何かを考えさせない“感覚的”な笑いであること。いずれも「登場しただけで笑いを誘われてしまう」「『バカだな』と思いながら気楽に笑える」という、見る人を選ばない目線の低さが感じられます。かつてチョコレートプラネットの「TT兄弟」がそうであったように、「すごい」「頭がいい」と思わせない瞬発的な笑いがネット上でウケるポイントになっているのでしょう。

 2つ目の共通点は、表情の面白さと、音楽にのせた振りやフレーズがクセになること。どのネタも、まずは表情で1つ目の笑いを誘い、次にキャッチーな音楽・振り・フレーズで、より大きな2つ目の笑いにつなげました。「思わず口ずさんでしまう」「繰り返し見たくなる」からこそネット上でまねをする人が多く、実際に「塩の魔人と醤油の魔人」を作った岩井さんは「最初からネット上でバズることを狙っていた」と公言しています。

 3つ目の共通点は、純度の高いお笑い番組の中で披露されたこと。近年、お笑いだけを追求したバラエティーがほとんどなくなり、「ネットが発達したにもかかわらず、なかなかバズるネタが生まれない」という状態が続いていました。

 しかし、今春は「有吉の壁」がお笑い番組としては久々にゴールデンタイムでレギュラー放送化され、6年ぶりに「ザ・ドリームマッチ」が放送され、長年の時を経て、「志村けんのだいじょうぶだぁ」がネット上で復活。新型コロナウイルスによる閉塞(へいそく)感もあり、「何も考えずに笑えるネタがウケやすい」という状況が生まれているのでしょう。

 テレビ局としても、日本テレビが日曜昼に“新キャラ育成バラエティ”というコンセプトの新番組「第7キングダム」を放送するなど、「自局番組からバズるネタを発信したい」という思いはこれまで以上に強くなっています。まだ、バズるネタは生まれていないものの、先述した3つの共通点を持つものもあるだけに、今後期待できるのではないでしょうか。

「優勝よりバズりたい」という心理

 このところ、若手芸人やギャグの登竜門と言われた「ぐるナイ おもしろ荘」(日本テレビ系)、「新春大売り出し!さんまのまんま」(フジテレビ系)、「R-1ぐらんぷり」が“バズる”という意味では不発に終わっています。

 芸人たちの中には、「優勝よりもネット上でバズることを狙っている」という人も多いものの、やはり難しいというのが現実。ただ、今、ネット上ではやっている3つのネタを改めて見てみると、いずれも脱力系で、芸人たち自身からも力みのなさを感じることに気付かされました。

 特にネット上では、「何とかバズりたい」という力みが見る人に伝わってしまうと、なかなか笑ってもらえない傾向があります。「笑わせる」ことにこだわらず、「笑われる」ことをよしとする人が好かれやすいことも含め、力まないことがバズるためのヒントなのかもしれません。

 芸人たちも、テレビや劇場などでの仕事が激減しているため、しばらくの間はネット上での発信が増えるでしょうし、以前のネタが発掘される可能性もあるでしょう。また、現在話題を集めている「ギャグつなぎ」の中から、バズるネタが現れるかもしれません。その意味で、間もなく突入するゴールデンウイークには、テレビではなくネット発のネタがバズりやすいのではないでしょうか。

(コラムニスト、テレビ解説者 木村隆志)

木村隆志(きむら・たかし)

コラムニスト、テレビ解説者

雑誌やウェブに月間20本強のコラムを提供するほか、「週刊フジテレビ批評」などに出演し、各局のスタッフに情報提供も行っている。取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーでもあり、新番組と連ドラはすべて視聴するなど1日のテレビ視聴は20時間超(同時含む)。著書に「トップ・インタビュアーの『聴き技』84」「話しかけなくていい!会話術」など。

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