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五輪マラソン札幌案、暑さ対策で正当化される? 開催都市以外はアリ? 是非を識者に聞く

札幌開催案はIOCの「外圧」なのか?

Q.札幌開催案が日本国内からではなく、IOCから出てきたことについてどのように思われますか。「外圧」という声もネット上にはあります。

江頭さん「IOCは外圧ではありません。五輪の主催者はIOCで、東京は開催地です。マラソンランナーが35度の中、42キロを走って健康を損なったら、最終的な責任はIOCが持たなくてはなりません。開催地の東京がどのような事情で反対するか分かりませんが、決定権は東京にはありません。

『既にチケットを販売しているから』『テレビ中継が』『スポンサーが』など商業的な理由で東京都が反対したとしたら、オリンピズムを理解していないとしかいえません。オリンピックは行き過ぎた商業主義が問題になっています。

2020年大会の水泳競技決勝は、アメリカのテレビ局の意向をくんで午前中開催になりました。2008年北京五輪でも、競泳の決勝は午前に実施。2018年2月の平昌冬季五輪でも、アメリカで人気があるフィギュアスケートは午前から行われています。このように、テレビ中継に合わせて競技が実施されることは好ましくありません」

Q.東京都や東京在住者の中には不満の声も多いようです。そうした人たちが納得できる「五輪の在り方」についての考え方があれば教えてください。

江頭さん「オリンピックはショーではありません。商業目的で行われている、サッカーリーグやプロ野球と同様に考えてはいけないのです。4年に1度、世界一のアスリートを決めるための大会です。古代オリンピックは神に捧げる『奉納』の意味もありました。基本的にアスリートへ『出演料』は支払われません。つまり、五輪競技の期間、彼らはプロではなくなります。そのことを理解していただきたいと思います。

チケットが当選した人も、マラソンコースに隣接する商店の人も、五輪においては『観客』ではなく『観衆』です。アスリートの真剣勝負を見せてもらっている、お邪魔しているという立場です。ランナーが最高の、本来のパフォーマンスを発揮できない35度の東京でマラソンを開催するのは、本末転倒です。北海道開催でランナーへのストレスを減らし、最高のコンディションで最高のパフォーマンスを出せる環境を整えるのが、開催地の役割なのです」

(オトナンサー編集部)

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江頭満正(えとう・みつまさ)

独立行政法人理化学研究所客員研究員、一般社団法人日本スポーツマンシップ協会理事

2000年、「クラフトマックス」代表取締役としてプロ野球携帯公式サイト事業を開始し、2002年、7球団と契約。2006年、事業を売却してスポーツ経営学研究者に。2009年から2021年3月まで尚美学園大学准教授。現在は、独立行政法人理化学研究所の客員研究員を務めるほか、東京都市大学非常勤講師、一般社団法人日本スポーツマンシップ協会理事、音楽フェス主催事業者らが設立した「野外ミュージックフェスコンソーシアム」協力者としても名を連ねている。

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