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上司のハラスメントはなくなるか 男女雇用機会均等法改正のポイントとは

ハラスメント防止措置が義務化された

 加えて重要な改正点として、妊娠や出産したこと、産前・産後休業や育児・介護休業の取得を理由とした上司や同僚からのハラスメント(嫌がらせ)の防止措置を実施する義務が事業主に課されました。

 これまでも、事業主がこれらを理由として不利益な取り扱いをすることを禁止する規定はありました(男女雇用機会均等法第9条第3項、育児・介護休業法第10条、16条)。今後はこれに加えて、事業主は、上司や同僚の言動によって職場において妊娠、出産、育児、介護休業などの取得に関して、ハラスメントなどにより就業環境が害されることがないよう適切かつ必要な措置を取ることが要求されます。事業主がこの義務を怠れば、損害賠償などの法的責任も免れません。

あからさまでないマタハラやパタハラ

 妊娠・出産に伴ういわゆる「マタニティーハラスメント」(マタハラ)は、女性労働者に対するものですが、育児・介護休業等に関するハラスメントは、男性労働者も被害者になり得ます。たとえば男性が育児休業を取得することなどを理由に嫌がらせを受けることを「パタニティーハラスメント」(パタハラ)といい、近年件数が増加しています。

 職場にはマタハラやパタハラをしていることの自覚がなく心ない言葉を言ってしまっている人もいますが、言われた方が「嫌だな」「不快だな」と感じれば、それはハラスメントです。言葉によるハラスメントは必ずしも「妊娠したなら、辞めてもらいたい」「介護で仕事を休まれるのは迷惑だ」と言ったあからさまなものではなくても、たとえば「妊婦じゃつらくて仕事大変だよね」「妊婦の前じゃタバコも吸えないな」というような、一見相手を気遣ったように見える言葉でも、言い方や場面によってはマタハラになる可能性があります。

 また、女性上司や同僚が「私は出産間際まで働いていたわよ」と自分の時と比べて言う言葉もマタハラになり得ます。「育児休業等を取得しようとする男性に対し「奥さん、育児やってくれないの」「奥さん、専業主婦じゃないんだ」「奥さん、出て行っちゃったの」と冗談で言ったつもりでも、言われた方にとってプレッシャーやストレスにつながるのであればパタハラになり得ます。

 妊娠や出産、育児、介護は、それに直面している人にとっては非常にデリケートな問題です。少しの言葉でも傷つきやすい状況であることを、職場の一人一人が理解することが重要だと思います。

(弁護士 萩谷麻衣子)

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萩谷麻衣子(はぎや・まいこ)

弁護士

慶応義塾大学法学部法律学科卒業。元東京弁護士会法律相談センター委員会副委員長。元東京弁護士会人権擁護委員会副委員長。日本女性法律家協会副会長。萩谷麻衣子法律事務所代表。結婚・離婚・遺産相続・労働問題など一般民事や企業法務、刑事裁判を数多く担当している。また2人の子どもの子育てをしながらテレビ出演や裁判もこなす、働くママの代表格でもある。テレビ朝日「ワイドスクランブル」、TBS「Nスタ」、関西テレビ「ワンダー」にレギューラー出演中。

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