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あの「ドラえもん」越え! 「君の名は。」はなぜ中国でも大ヒットしているのか

興収210億円を突破した映画「君の名は。」。昨年12月2日に中国で公開されるやいなや、興収約95億円を記録し、日本映画における新記録を打ち立てました。同作が中国人の心をつかむ理由を取材しました。

「君の名は。」の興収は210億円を突破している

 興行収入210億円を突破し、歴代邦画興行収入ランキングで2位に躍り出た大ヒット映画「君の名は。」(新海誠監督)。2016年12月2日には中国でも公開され、興行収入はすでに約95億円を記録、同国における日本映画の歴代興収の新記録を樹立しました。

「君の名は。」の人気はなぜ日本にとどまらず、中国の映画ファンの心をも虜にするのでしょうか。オトナンサー編集部では、中国の社会情勢に詳しいノンフィクション作家の青樹明子さんに取材しました。

SNSなどによる「口コミ」効果

 青樹さんは「中国における日本アニメの人気を考えると、今回のヒットは当然の結果。日本で驚きとともに報道されていることにビックリしています」と話します。

 青樹さんによると、故トウ小平氏の改革開放政策によって日本のアニメが中国に入ってきたことに伴い、現在の40代は子ども時代に「鉄腕アトム」に親しんでいる人が多いそう。また、それより下の世代も日本の子どもと同様「ちびまる子ちゃん」「名探偵コナン」「ドラえもん」「一休さん」などを見ており、中国人と日本人の幼児期における“アニメ体験”はほぼ同じといいます。

 その上で、青樹さんが考えるヒット要因は以下の3つです。

1.口コミを重視する社会

 中国は、政府発表や広告などよりも友達の「口コミ」を信じる社会。現代の口コミはネットで、中国版LINE「微信」などの友達情報がさまざまなことに大きく影響する。「『君の名は。』という映画が日本で大ヒットしている」という情報は公開前からネットで出回り、日本アニメファンは中国での公開を心待ちにしていた。実際に見たら「期待通りで面白かった」ということになる。その感想がまた「微信」などで周囲に拡散した。

2.タイムスリップものが大好き

「君の名は。」には主人公の瀧と三葉が時空を超えて入れ替わるシーンがあるが、中国において“タイムスリップもの”はテレビドラマの一ジャンルとして確立されているほどの人気がある。中国で大ヒットし、日本でも放映されたドラマ「宮廷女官 ジャクギ」も、清朝最盛期の宮廷にタイムスリップするストーリーだった。

3.たくましい男性に憧れる中国男子

 命がけで愛する女性を守る男性の姿は中国人の憧れ。それだけに、純愛を描いた「君の名は。」は中国の若者の心に響いた。

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青樹明子(あおき・あきこ)

ノンフィクション作家・中国社会情勢専門家

早稲田大学第一文学部卒、早稲田大学大学院アジア太平洋研究科修士課程修了。大学卒業後、テレビ構成作家や舞台脚本家などを経て企画編集事務所を設立し、業務の傍らノンフィクションライターとして世界数十カ国を取材する。テーマは「海外・日本企業ビジネス最前線」など。1995年から2年間、北京師範大学、北京語言文化大学に留学し、1998年から中国国際放送局で北京向け日本語放送のキャスターを務める。2016年6月から公益財団法人日中友好会館理事。著書に「中国人の頭の中」「『小皇帝』世代の中国」「日中ビジネス摩擦」など。近著に「中国人の『財布の中身』」(詩想社新書)がある。