【婚活】20代の頃はモテモテだったのに…半年で30人とお見合いしても“結婚できない”40歳女性の《致命的な勘違い》
過去の失敗が踏み出す一歩を難しくする
たかしさん(55歳・仮名)は、50代前半で離婚を経験しました。離婚のきっかけは、妻から告げられた「家庭を顧みないあなたには、もう愛情が持てない」という言葉でした。
一方でたかしさん自身は、家族の生活を支えるために懸命に働いてきたという思いが強く、「家族のために仕事に打ち込んできた」という自負を抱いていました。
最終的に離婚は裁判へともつれ込み、財産分与の結果、分譲マンションは元妻がそのまま住み続けることになりました。預貯金は折半、年金についても分割が決まりました。救いだったのは、子どもたちがすでに独立しており、養育費の負担が生じなかった点でした。
住まいと財産の半分を失った現実は、決して小さなものではありませんでした。現在の収入は安定しているものの、減った預金残高を前に、老後への不安が頭をもたげるようになったのです。
さらに、一人で過ごす日々は次第に味気なく感じられ、これから先の人生を考えたとき、「共に時間を重ねていけるパートナーがほしい」という思いが強まっていきました。
こうして彼は、再婚を視野に入れ、婚活に踏み出すことを決めたのです。
ところが、婚活市場に足を踏み入れたたかしさんを待っていたのは、想像以上にシビアな現実でした。
年収は安定しており、社会的信用もある。離婚歴はあるものの、子どもは独立していて養育費の負担もない。条件だけを見れば、決して不利な立場ではありません。
しかし、再婚を希望する50代男性として市場に立った瞬間、彼は「選ぶ側」から「選ばれる側」へと立場が変わっていることを痛感します。
年齢、資産状況、離婚理由。プロフィール上の一つ一つが、相手から慎重に精査される。一方で、たかしさん自身もまた、「今度こそ失敗したくない」という思いから、相手に求める条件を無意識のうちに厳しくしていきました。
「もっと若い人の方がいいのではないか」
「再婚なら、生活を支え合える人でないと不安だ」
そう考えるほど、候補は狭まり、決断のハードルは上がっていきます。
これは、彼個人の優柔不断さの問題ではありません。
離婚によって一度、住まいと財産を失った経験があるからこそ、「選択を誤ること」への恐怖が、決断を鈍らせているのです。
婚活市場には、こうした人が少なくありません。過去に大きな代償を払った人ほど、次の一歩を踏み出すことが難しくなる。選択肢が多い時代であるにもかかわらず、人はむしろ決められなくなっているのです。
たかしさんもまた、その構造の中で立ち止まっている一人でした。
「決められない時代」に結婚を決めるということ
近年の婚活市場は、AIによる高精度なマッチングや婚活アプリの普及、結婚相談所の増加によって、かつてないほど「選べる時代」になりました。
一見すると結婚しやすくなったように見えますが、現場ではむしろ「決められない人」が増えています。選択肢が無数にあることで、「もっと良い相手がいるのではないか」という思考が生まれ、結婚の決断そのものが先送りされてしまうのです。
えつこさんは、まさにその典型でした。婚活アプリで300人近くに会い、結婚相談所でも半年で30人とお見合いをしましたが、最後まで決めきれませんでした。
条件は悪くない、けれど「次の人の方が良いかもしれない」という迷いが常につきまとっていたのです。
一方、たかしさんは、離婚で大きな代償を払った経験から、「もう失敗したくない」という思いが強く、相手に求める条件を厳しくしてしまいました。その結果、選択肢は狭まり、やはり決断できない状態に陥っていました。
2人に共通しているのは、優柔不断さではありません。問題は、婚活での結婚を「一番いい条件を探す作業」だと捉えてしまっている点にあります。
しかし、結婚とは本来、「正解」を探すことではなく、自分で腹落ちできる選択をすることです。条件を積み上げても、不安やリスクを完全に消すことはできません。
結婚を決められる人たちは、「もっと良い可能性があるかもしれない」という未来を、どこかで手放しています。全てを満たす相手を探すのではなく、「この人となら、不完全さを抱えたままでも、前に進める」という視点で相手を見ているのです。
なぜ不完全でも進めるか。相手の人柄の良さや考え方や価値観の一致を見つけて、そこを信頼し、相手を愛したからです。
何かを選ぶということは、同時に他の可能性を捨てる覚悟を持つことでもあります。
だからこそ、婚活は、出会いの数を増やすことではありません。なぜ決められないのか、何を恐れているのか、何を手放せていないのかを自身で言語化し、意思決定を支えることにあるのです。
(仲人・ライター 鎌田れい)

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