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人気俳優が“海外”を目指す理由 安定した地位からの脱却と人不足による一極集中

人気俳優への一極集中

 俳優たちから相次ぐ、「積み重ねたキャリアへの疑問」「海外進出表明」には何が隠されているのでしょうか。それは、佐藤健さんの言葉で分かります。人気俳優ゆえのぜいたくな悩みでもあるのですが、オファーが引きも切らないことから、その“繰り返し”になってしまっていることに多少辟易(へきえき)しているのです。

 つまり、これはまた、定期的に同じ顔触れにしかオファーしないという、芸能界の体質、さらに、それが招いた危機を示唆しているとも言えるでしょう。

 最近、よく聞くのは、「今年だけで出演作は」というフレーズです。黒木華さんは今年だけで6本、吉沢亮さんは8本、山田裕貴さんも5本の映画に出演しました。この山田さん、昨年だけでもなんと12本もスクリーンを彩りました。ただ、こうした役者のオファーの「一極集中」は本人を成長させると同時に、後に疲弊させてしまうという危うさも秘めているとも言えるのです。

人材不足が招く「永続的人気」

 そんな「永続的人気」は、役者の人材不足に起因しているという見方もできます。

 NHK朝の連続テレビ小説「まんぷく」で、克子(松下奈緒さん)の長女・香田タカの14歳以降を、岸井ゆきのさんが演じています。岸井さんの実年齢は26歳。起用されたのは148.5センチという身長と幼い顔立ちなどの理由が考えられますが、他にも同じような例は枚挙にいとまがありません。

 小栗さんは2014年、31歳のときに「信長協奏曲」(フジテレビ系)で高校生役を演じていましたし、先の朝ドラ「半分、青い。」では、29歳の佐藤健さんが高校生役を好演していました。他の俳優を例にとっても、山田裕貴さんは28歳で高校生役(10月公開の映画「あの頃、君を追いかけた」)、賀来賢人さんは29歳、中村倫也さんは31歳で高校生役です(日本テレビ系連続ドラマ「今日から俺は!!」)。

 無論、こうした現象をすべて「人手不足」でまとめるのは早計ですが、1998年、学園ドラマ「GTO」(フジテレビ系)で高校生役を務めていた小栗さん(当時15歳)が、約20年たった今も高校生役でオファーされるというのはどうしても奇異に映ってしまいます。

 もちろん、主役の座をつかみ、ヒットドラマ、ヒット映画に恵まれるのは至難の業ですが、そうした安穏としたポジションから脱し、海外に刺激を求めるのはごく自然なことでしょう。

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河瀬鷹男(かわせ・たかお)

芸能ライター

キャリアスタートはテレビ番組の制作。2014年頃から、Yahoo!ニュースやLINEニュースなど多くのニュースサイトに記事を配信している。主に、芸能系の分析を得意とする。

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