「終活」を告白する芸能人、なぜ増加? 背景に「断捨離」と有名人の死も…
トレードマークのストールを処分した中尾彬さんや、洋服やタンスなどを断舎離した高橋英樹さんなど、芸能界でも「終活」が身近なものとなっています。その背景を筆者が探ります。
人生の幕引きを準備する「終活」について言及するタレントが増えてきました。中尾彬さんはネジネジのストールを200本処分。高橋英樹さんも洋服1500着やタンス、テーブルなど合計33トンを“断捨離”したそうです。
まだ命ある者が「最期の支度」について話題にすることは、かつては「縁起でもない」と言われた時代もありましたが、今やそのタブーは緩やかに解かれつつあります。
この1年で芸能界でも身近になったキーワード「終活」。それを語るタレントが増えた背景を探ってみました。
お墓、葬儀、終末医療…さまざまな終活行動
一口に「終活」と言っても、先ほどの物品整理だけでなく、さまざまな事柄が挙げられます。例えば「お墓」。デヴィ夫人はすでに、愛犬と一緒に入るための墓をデザインし、10匹の愛犬との写真も撮影済みだそうです。
同じくお墓でいうと、梅沢富美男さんが、都内で人気の霊園「青山霊園」に15年かけてようやく当選したことを番組で語っていました。
葬儀の内容を決めておく人もいます。夏木マリさんは、テーマ曲として流してほしいクラシック音楽をすでに決めてあるそうです。さらに、読経をあげる僧侶もすでに“予約”済み。参列者の食事の場には、白と黒のストライプのテーブルクロスをかけてほしい、という意向も明かしています。
「終末医療」に関することも終活に含まれます。 秋野暢子さんは昨年60歳になったのを機に「病気で回復の見込みがなくなったら、延命治療はしないでほしい」と家族に伝えたそうです。
40~50代タレントにも広がる終活
40~50代の芸能人の方々も終活をするようになっています。51歳の坂上忍さんは、昨年の50歳の誕生日を機に、携帯のメールの削除から財産整理などまでを、すべて済ませたといいます。
48歳のいとうあさこさんは、次第に「婚活よりは終活」という考え方が大きくなり、すでに遺影を撮影したそうです。それは、お酒が好きな彼女らしく、一升瓶を持って笑顔で映った一枚だとか。
52歳の財前直見さんは、50年先までの人生プランを書いたノートを作成。さらに、いつ「あの時の写真が欲しい」とオーダーされてもいいように出演ドラマ別にファイルを作り、写真を仕分けているといいます。「死ぬことを想像すると、より良く生きようとする」と語っています。
断捨離ブームの影響も?
「終活」という言葉は2009年、葬儀相談員の市川愛さんが週刊誌の連載記事で初めて世に出した言葉とされています。以後、終活にまつわる本が出版され、メディアに取り上げられる機会も増加しました。
こうした、終活に目が向くようになったとされる要因の一つが「断捨離」ブームです。この言葉は、2009年12月に発売された、やましたひでこさんの「新・片づけ術『断捨離』」から来ているとされています。
これは、単に物を捨てるだけではなく、「執着から離れる」という精神的な意味合いも含まれています。
終活、そして、それと時を同じくして広がりを見せた断捨離は、思想的にも似通っていることから、いつしか重なり合っていったのかもしれません。芸能人による終活についての告白が物品整理中心なのも、比較的手軽にできると同時に、そうした「終活=断捨離」という考えがあるからではないでしょうか。
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