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松坂慶子、夏川結衣、草刈民代…いよいよ佳境の秋ドラマを彩る「母親」たち

佳境を迎えた秋ドラマで、劇中を盛り立てているのが「母親役」です。

松坂慶子さん(Getty Images)
松坂慶子さん(Getty Images)

 秋ドラマもいよいよ、8話、9話と佳境を迎え、クライマックスまで目が離せない状況が続いています。そんな中、劇中を盛り立てているのが「母親役」。主人公を陰から支える「脇役」ではありますが、物語に深みを持たせる大事な役柄です。今回は秋を彩るドラマの母親役に迫りたいと思います。

大河と朝ドラを制したグレートマザー松坂慶子さん

 NHK朝の連続テレビ小説「まんぷく」で、安藤サクラさん演じるヒロイン今井福子(立花福子)を支える母親が、松坂慶子さん演じる今井鈴。末っ子の福子のことがとにかく心配で、小言を言っては逆に娘にたしなめられています。福子が長谷川博己さん演じる発明家の萬平と結婚した後も、その不安定な仕事に愚痴をこぼしては波風を立てる日々。

 今ならば「毒親」とでも呼ばれるのでしょうが、松坂さんが持つ「穏やかさ」が、ともするとイヤミになりそうな役柄を中和し、かわいげのある母親像を形作っています。

 松坂さんの母親役といえば、今年前半に出演していたNHK大河ドラマ「西郷どん」も忘れられません。西郷吉之助(鈴木亮平さん)の母・満佐として貧しい西郷家を切り盛りしていましたが、後に病を患い、桜島を見ながら息子の背中で息絶える場面(第7話「背中の母」)は涙なしでは見られない名シーンです。

 松坂さんは実際に2人の娘さんを持つ母親。既にどちらも20歳を過ぎて子育ては一段落しているようですが、役に入っても追体験することができるのでしょう。

“ブレークの登竜門”的母の夏川結衣さん

 もちろん、独身でも母親役のオファーが引きも切らない女優はいます。それが夏川結衣さんです。「中学聖日記」(TBS系)では、思春期の高校生・晶(岡田健史さん)を持つシングルマザー愛子を好演しています。誤解を恐れずいえば、松坂さんと同じふくよかな体型が、母親らしい慈愛に満ちた演技をさらに高めているのは間違いありません。

 そんな夏川さんは、ブレーク俳優の母親役を数多く演じてきました。映画「天然コケッコー」(2007年)では夏帆さん、スペシャルドラマ「15歳の志願兵」(NHK、2010年)では太賀さん、「松本清張特別企画・一年半待て」(BS-TBS、2010年)では本田望結さん、映画「64-ロクヨン-前編/後編」(2015年)では芳根京子さんと、いずれも後のニュースターの母親ばかり。

「中学聖日記」も、今作がデビューとなる岡田健史さんの母親。新たな逸材の成長を役を通し、母親のように温かく見守っていると言えるのです。

母親だって恋をする 「大恋愛」の草刈民代さん

 金曜夜、視聴者の胸を熱くさせている「大恋愛~僕を忘れる君と」(TBS系)で若年性アルツハイマー病に侵されるヒロイン間宮尚(戸田恵梨香さん)の母親・薫を演じているのが草刈民代さんです。娘の行く末に悩みながら、第7話(11月23日)では、尚のかつてのフィアンセ井原侑市(松岡昌宏さん)との恋愛が進展しそうな気配がありました。

 早くに夫を亡くし、尚を女手一つで育ててきた薫。そんな母親の恋愛まで描くのは新しい手法といえるでしょう。

 どんな作品にも、少なからず登場する「母親役」。主人公に、それまで積み重ねてきた人生があるように、その母親にも、きちんとしたバックグラウンドがあります。そんな彼女たちの生い立ちに思いをはせてみるのも楽しいかもしれません。

(芸能ライター 河瀬鷹男)

河瀬鷹男(かわせ・たかお)

芸能ライター

キャリアスタートはテレビ番組の制作。2014年頃から、Yahoo!ニュースやLINEニュースなど多くのニュースサイトに記事を配信している。主に、芸能系の分析を得意とする。

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