テレビ番組で視聴率を得るための“仕掛け”が増えた理由 背景に時間感覚の早まり?
王者・日テレを中心に、各局がしのぎを削り合う「番組」の中には、視聴者をつなぎとめるための細かい仕掛け、ギミックが散りばめられています。そのさまざまな手法を筆者が解説します。
目下、熾烈(しれつ)な視聴率争いを続けるテレビ局。現在、民放キー局では日テレが圧倒的優位を誇っていますが、3位のTBSもかなりの躍進を続け、2位のテレ朝を脅かす時も出てきました。
そんな、各局がしのぎを削り合う「番組」ですが、その中にはコンテンツ自体の面白さ以外に、視聴者をつなぎとめる細かい仕掛け、いわばギミックが散りばめられています。今回はこれについて分析してみたいと思います。
朝ドラ終わりの対策
今、日本で一番見られている番組といえば、いよいよフィナーレを迎えるNHK連続テレビ小説「半分、青い。」です。これまでの全話平均視聴率は20%以上。視聴者満足度は低いと言われている同作ですが、やはり「朝ドラ」ブランドに守られているせいでしょうか、大崩れすることはありません。
朝ドラのオンエアは午前8時から8時15分まで。そこで、裏の民放各局ワイドショーは、朝ドラが終わる8時15分から、スキャンダルや事件などとにかく強いネタを一斉に持ってきています。そしてそれ以降、CMをまったく入れず、チャンネルを変えさせないようにしています。
現在、「スッキリ」(日本テレビ系)は8時30分すぎにCMチャンスがありますが、「羽鳥慎一モーニングショー」(テレビ朝日系)、「とくダネ!」(フジテレビ系)、「ビビット」(TBS系)は、9時前まで一度もCMを入れずに放送しています。
裏番組が同じようなCMチャンスにしていることが、どこまで効果的なのかは分かりかねますが、いずれにせよ、朝ドラ終わりでチャンネルを変えてくれるであろう視聴者を取り込むための策であることは間違いありません。
次の番組を見させるための仕掛け
もう一つ、そうしたワイドショーには、ある仕掛けがあることに気がつきます。それは「生放送」という形態を生かしたもの。例えば、これは不定期放送ですが、「ZIP!」から「スッキリ」(ともに日本テレビ系)に代わる直前、「ZIP!」桝太一アナから、「スッキリ」司会で後輩の水ト麻美アナに「業務連絡」という形でクロストークするコーナーがあります。
また「バイキング」の坂上忍さんは毎日、別スタジオにいる「直撃LIVE グッディ!」(ともにフジテレビ系)の安藤優子アナと「最新ニュース言いたい放題」というタイトルで、話題のトピックスをやり取りしています。
番組と番組がドッキングする「合体SP」も今や定番のソフトです。9月24日も、「人生が変わる1分間の深イイ話」と、その後の番組である「しゃべくり007」(ともに日本テレビ系)がコラボし、「深イイ×しゃべくり合体SP」としてオンエア。ただ“合体”といっても、「深イイ話」のエンディングで、次の「しゃべくり」ゲストが誰なのか少し予想するだけ。そして、CMが入らず、番組直結で「しゃべくり」を始めるというものです。
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