オトナンサー|オトナの教養エンタメバラエティー

週7本「再現ドラマバラエティー」が求められる理由 俳優起用のチャンスと実話の強み

10月から、日本テレビがプライムで2年ぶりの新番組「THE突破ファイル」を投入したことが話題ですが、「再現ドラマバラエティー」は全局合計で週7本もあります。求められる理由を考察します。

「THE突破ファイル」MCの内村光良さん(Getty Images)
「THE突破ファイル」MCの内村光良さん(Getty Images)

 この10月から、各局で新番組が続々とスタートしました。その中で、民放王者の日本テレビは今回も最も少ない改編率になりましたが、一方で新たな動きも。プライムで2年ぶりに新番組となる「THE突破ファイル」を投入したのです(初回は10月25日)。

 この番組内容は公式サイトなどから要約すると、「あらゆるジャンルで実際に起きた驚きの突破劇を再現ドラマとクイズで紹介するバラエティー」とのこと。この“再現ドラマ”には、新進気鋭の若手女優や俳優を積極的にブッキングするとも伝えられています。

 実は、同番組を合わせると、こうした「再現ドラマバラエティー」は全局合計で週7本もオンエアされていることが分かりました。このコンテンツがテレビ界で求められる理由とは何なのでしょうか。

再現ドラマの老舗から新顔まで週7本

 再現ドラマバラエティーで現在、圧倒的地位を見せつけているのが「奇跡体験!アンビリバボー」(フジテレビ系)と「ザ!世界 仰天ニュース」(日本テレビ系)の2本です。「アンビリ」は開始21年、「仰天」は17年と、もはや説明する必要はないでしょう。

 さらに、他局では「世界ナゼそこに?日本人~知られざる波瀾万丈伝~」(テレビ東京系)があります。これは、海外の僻地(へきち)で奮闘する日本人の壮絶な人生を再現、紹介するプログラム。また、身の回りの「ムカッとした」ことを見事な機転で乗り切った実体験をショートドラマにして届ける「痛快TV スカッとジャパン」(フジテレビ系)はこの10月で5年目を迎えます。

 再現ドラマを主体にした番組といえば、今年4月からスタートした「直撃!シンソウ坂上」(フジテレビ系)も挙げられます。同番組では過去、1980年に社会問題となった「戸塚ヨットスクール」の校長・戸塚宏氏にインタビューするなど、ジャーナリスティックな一面もありますが、ほぼ毎週人々の胸に強烈に刻まれた事件・事故を再現ドラマで伝えています。

 7月12日の放送では、「地下鉄サリン事件」の実行犯の中で唯一死刑判決にならなかった林郁夫受刑者の人生をプレーバック。彼の取り調べを行った、警視庁第三機動捜査隊・稲冨功さんを渡辺いっけいさん、稲冨さんの後輩刑事を松尾諭さんが演じました。

 また、8月2日の放送では、殺人で15年間の逃亡の末、時効直前に逮捕された福田和子・元受刑者を佐藤仁美さんが熱演。息子の視点から見た、親子のドラマを紡ぎました。

 さらに、同じく4月にスタートしたのが「東京らふストーリー」(テレビ朝日系)です。これは、さまざまな業界で本当にあった話や実在した強烈なキャラクターを、お笑いコンビ・とろサーモンの久保田かずのぶさんら芸人をはじめ、笛木優子さん、人気コスプレーヤーのえなこさんなど、多彩なキャストが演じるバラエティーです。

1 2

河瀬鷹男(かわせ・たかお)

芸能ライター

キャリアスタートはテレビ番組の制作。2014年頃から、Yahoo!ニュースやLINEニュースなど多くのニュースサイトに記事を配信している。主に、芸能系の分析を得意とする。

コメント