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坂上忍、人生を賭けて挑む新番組「坂上どうぶつ王国」で“毒舌”イメージ刷新へ

坂上忍さんの番組といえば、激しい発言が飛び交う「バイキング」が思い浮かびますが、新番組「坂上どうぶつ王国」では別人のような姿を見せています。

坂上忍さん(Getty Images)
坂上忍さん(Getty Images)

 坂上忍さんの番組と聞けば、激しい発言が飛び交う「バイキング」(フジテレビ系)を思い浮かべるのではないでしょうか。

 しかし、10月12日スタートの新番組「坂上どうぶつ王国」(フジテレビ系)は、まさに真逆。「動物王国を作る」という夢の実現に向けて動く坂上さんは終始笑顔で、他の番組とは別人に見える幸せそうな姿を見せています。

 坂上さんは「動物のお世話をして人生を終えたい。最後の終活」「どんな労力でも払える。個人でもやろうと思っていたことなんで、(お金は)すべて自分でまかなうつもり」「知り合いの不動産屋さんに、最低東京ドーム1個分入る土地はどこかにありませんかとお願いして、すでに何カ所か見て回っている」と語るなど、他の番組以上に覚悟を決めている様子が伝わってきます。

 坂上さんは第1回のオープニングで、尊敬するムツゴロウさんの住む北海道を訪れ、腰の位置まで深々と頭を下げてあいさつし、真剣な表情で教えを請いました。スタジオでは、愛犬・パグゾウを抱っこしてデレデレの姿を披露。第2回では、カワウソとふれ合い、X JAPAN・ToshIさんの歌う「犬のおまわりさん」を聴いて大はしゃぎし、さらに毎週エンディングには、12匹の犬との触れ合う「今日の坂上家」というコーナーもありました。

 これ以上ないほど好感度の高い映像が続くだけに、「こんな笑顔も見せるんだ」「本当はいい人なんだろうな」と坂上さんのイメージが大きく変わる視聴者は少なくないでしょう。それがMCを務める「バイキング」「坂上&指原のつぶれない店」(TBS系)、「直撃!シンソウ坂上」(フジテレビ系)、「1番だけが知っている」(TBS系)にも好影響を与えるのは間違いありません。

 坂上さんにとっては、「坂上どうぶつ王国」のスタートが、人生とタレントイメージの両面で大きな分岐点になる可能性が高いのです。

「ムツゴロウとゆかいな仲間たち」の再来へ

 ただ、視聴者にしてみれば、坂上さんはフジテレビだけで「バイキング」「ダウンタウンなう」「直撃!シンソウ坂上」に続く4本目のレギュラー番組となるだけに、「頼り過ぎではないか」「出すぎ」という感があるのも事実。フジテレビも、そういう視聴者感情をわかっていましたが、そもそも坂上さんが「ムツゴロウさんのムツゴロウ王国に憧れていた」ことが番組の発端となっただけに、迷わず企画を進めました。

 もちろん、視聴率獲得への期待も大きく、1980~2001年に放送され、最高視聴率30%超を記録した「ムツゴロウとゆかいな仲間たち」の再来を狙っているのです。周到なのは、2年前から「超かわいい映像連発!どうぶつピース!!」(テレビ東京系)が放送され、すでに動物が好きな人々のテレビ視聴習慣がある金曜19時台を選んだこと。つまり、確実に動物が好きな視聴者のいる時間帯で勝負を仕掛けたのです。

 坂上さんが今後の人生を賭けたプロジェクトであること、フジテレビが過去の成功をアップデートして臨む番組であること、動物好きの視聴者は一定数が見込めることを踏まえると、すぐに終了する可能性は低く、金曜夜の名物番組になっていくのではないでしょうか。

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木村隆志(きむら・たかし)

コラムニスト、コンサルタント、テレビ解説者

雑誌やウェブに月間30本前後のコラムを寄稿するほか、「週刊フジテレビ批評」などに出演し、各局のスタッフに情報提供も行っている。取材歴2000人超のタレント専門インタビュアー、人間関係のコンサルタントとしても活動中。著書に「トップ・インタビュアーの『聴き技』84」「話しかけなくていい!会話術」など。

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