テレビ番組で視聴率を得るための“仕掛け”が増えた理由 背景に時間感覚の早まり?
カウントダウン、速報、出演者まとめて紹介
他にも、番組を観察すると細かい仕掛けに気づきます。例えば、次のコーナーに行く前の「カウントダウン」。かつてはどの番組も取り入れていましたが、現在は「THE!鉄腕!DASH!!」「幸せ!ボンビーガール」(ともに日本テレビ系)などで見られます。
ただし、「DASH」は基本40秒前からスタートしていますが、「ボンビーガール」は今月9月4日の放送だけを見ると、55秒前や17秒前でバラバラ。編集した結果、次のコーナーに行くまでの尺で秒数を変えているようです。
また、夕方のニュース番組に多いのが、「速報」と銘打ち、起きたばかりの事件や事故などを伝える形式です。
しかし、そのニュースを追跡してみると、実は既に数時間前に起きた出来事で、ネットではもっと早くに報じられているケースが多いことが分かります。人はどうしても「緊急性」を帯びたニュースに食いつきがちですが、これをうまく利用した“仕掛け”とも言えるでしょう。
ドラマではかつて、オープニングの主題歌を最低でも1番丸々流していましたが、今やタイトルバックのために10秒しか流さなかったり、バラエティー番組でも、以前はゲスト出演者を1人ずつきちんと紹介していたところを、テロップですぐ済ませたりするなど、「時間の短縮化」の傾向があります。
これらの仕掛けは「あざとい」と揶揄(やゆ)されることもありますが、現代人の時間感覚が早くなっている今、それも時代の産物と言えるでしょう。実際、昔の番組を見ると、そのテンポの遅さにややフラストレーションがたまることもあります。
往年の人気番組を再放送してほしいといった声もありますが、そのままでは難しいのではないでしょうか。いずれにせよ、あなたも今一度好きな番組の“仕掛け”を探してみてもよいかもしれません。
(芸能ライター 河瀬鷹男)
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