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【刺身の日】刺身に「菊の花」が添えられる納得の理由! 管理栄養士「実は“彩りのため”だけではありません」

8月15日は「刺身の日」。刺身に添えられていることの多い黄色の「菊の花」、実は彩りのためだけではないそうです。刺身に「菊の花」が添えられる理由を、管理栄養士が解説します。

実は「彩り」だけじゃない!?
実は「彩り」だけじゃない!?

 8月15日は「刺身の日」。刺身といえば、飲食店でも、スーパーで売られているパックでも、鮮やかな黄色の「菊の花」が添えられているのをよく見かけます。この「菊の花」、どうして刺身に添えられているのか知っていますか。管理栄養士の岸百合恵さんによると、実は「彩りのため」だけではないのだそうです。その理由や、菊の花に含まれる意外な栄養素について教えていただきました。

実は「がん予防」の効果も

 刺身に「菊の花」が添えられるようになった理由として、菊の花による彩りの美しさはもちろん、解毒効果を利用した殺菌目的や、香りを楽しむ薬味としての役割が考えられています。刺身などに添えられる菊の花は、全て食用菊で、タンポポのような小ぶりでおなじみの菊は「秋月」という品種です。

 菊は、平安時代に中国から日本に伝来し、観賞用や薬用として宮中で好まれるようになったと考えられている花です。食用菊が本格的に発達したのは江戸時代で、苦味を取り除き、花びらを大きくする改良がなされたり、品種も多種栽培されるようになったりしました。刺身に添えられるようになったのも、この時期ではないかと考えられます。

 ところで、刺身に添えられた食用菊、あなたは普段食べていますか?

 愛知県や山形県、青森県、新潟県といった菊の生産地では、郷土料理があるなど菊を食べる文化がありますが、その他の地域では菊を食べる習慣がなく、スーパーなどで販売をしていなかったり、していてもごく少量だったりします。そのため、「菊自体を食べたことがない」という人も多いようです。高級肉やおせちの飾りなどに造り物の菊が入っている場合もあり、食べ物というより“飾り物”のイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。

 そんな食用菊、実はさまざまな栄養素が含まれていることをご存知でしょうか。葉酸をはじめとしたビタミンB群、ベータカロテン、ビタミンCなど、抗酸化作用の高い栄養素が多く含まれています。体内で「グルタチオン」という解毒物質の生成を高めることも発見されているのです。

 また、最近の研究から、がん予防のほか、コレステロールや中性脂肪を下げる効果があるなど、健康に役立つ食べ物としても知られるようになってきています。

 食用菊は、軸ごと食べると苦味があるので、花びらをちぎって刺身にちらしたり、しょうゆに入れて味や彩り、食感を楽しんだりするのが一般的です。「食用菊とはいっても、どんなふうに食べるのがいいのか…」と迷った経験がある人もいるかもしれませんが、こうした楽しみ方をぜひ試してみていただきたいです。

 ちなみに、食用菊は刺身以外の料理に使われることもあります。小菊は花びらだけを使うというよりも、花そのものを飾りのように使うことが多く、刺身のつまとしての使用が主ですが、ちらしずしやサラダなどに花弁を散らすこともあるようです。

 また、花びらの大きな物はシャキッとした独特の食感があるので、おひたしやあえ物、酢の物、吸い物に加えるなどして使われています。天ぷらは花びら特有のしっとりした食感が楽しめるのでおすすめです。菊の花を使うと、地味になりがちな料理も彩りが華やかになりますよ。

(オトナンサー編集部)

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岸百合恵(きし・ゆりえ)

プロボクサー、管理栄養士、日本糖尿病療養指導士

病院食の管理・調理業務や企業での特定保健指導を経て、生活習慣病診療を専門とするクリニックにおいて5年間、栄養指導を実施。アスリートとしても夢を追い掛け、2017年に日本ボクシングコミッション(JBC)のプロテストに挑戦し、一発合格。「闘う管理栄養士」として、チャンピオンを目指して日々トレーニングに励みながら、ボディーメークや健康管理の指導を行う。現在は、スポーツ・睡眠歯科分野の診療を行う歯科医院で、アスリートへの食事指導や、一般患者へのダイエット、フレイル・サルコペニア予防の指導を行う他、内科クリニックで生活習慣病患者に対する食事指導を行っている。

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